ソフトウェア開発の見積もりを行う目的は、開発目標と品質目標を定量的に定めることにある。ソフトウェア開発において、開発が成功したかどうかは、その目標と実績を比較して、実績が目標の範囲内に収まったかどうかによって初めて評価が可能となる。
開発をスタートする時点で、開発目標と品質目標が精度良く定量的に設定されていなければ、実績と比較する基準が曖昧になるため、目標を達成したのかどうか判断が難しくなることは明らかである。
主観に頼った見積方式を排除し、科学的な見積方式により、開発規模、発生欠陥数、開発工数、開発時間、 開発コストなどの開発目標を定量的に精度良く見積もる手法を導入することは、開発を成功に導く上で不可欠な要素となる。
また、上記の開発目標に加えて、発生欠陥数の推移、月別開発投入工数、開発フェーズ別投入工数などの品質信頼性成長の推移パターンを定量的に見積もっておくことは、品質の出来栄えを見極める評価尺度が明らかになると共に、開発プロジェクトの品質実現の管理と制御を行い易くするための鍵となる。
これらの品質信頼性成長の推移ターンは、品質が適正に作り込まれている場合には、理想的な形で推移することが知られている。しかし、実際の開発においては、品質信頼性成長パターンは、開発の進行上の品質の出来栄えの良し悪しによって変化し、理想的なパターンから外れてくる。この外れを理想的なパターンにできるだけ近づけるようにコントロールすることが、品質の高いソフトウェアを作るための本質的な考え方である。
ここで、品質信頼性成長パターンのコントロールを可能にするためには、このパターンが数値化され、定量化された目標として設定されていることが前提になる。
開発コストは、開発規模、開発期間、開発工数、発生欠陥数が分かれば、正しく見積もることが可能となる。開発コストは、メイン開発構築コストに加えて「市場欠陥修正コスト」と「開発支援コスト」も見積もりをすることも考慮する。
「市場欠陥修正コスト」は、ソフトウェアをリリース以降に発生するバグや欠陥の修復に投じられる工数と、プログラムのテスト・検証、および関連して発生する工数からなる。これらを見積もることは、開発プロジェクトの中で、これらの工数がしばしば最も大きなコストを構成することへの対応であり、リリース以降の欠陥の発生を現実的に捉え、それを修正するプロセスで発生する作業もコストとして計上することによって、見積もりの精度を上げる意図がある。
また、「開発支援コスト」は、進捗管理、構成管理、外注委託先管理、トレーニングプログラムなどに必要な開発支援のためのコストであり、これらの開発支援コストは見落としがちであるが、これらも総開発コストの中に計上しておかないと正しい見積もりとはならない。
Practice to estimate Software development: SHISUTEMU NO HINSHITSTUJITSUGEN TO ANZENSEI NI KAKUSHIN WO ATAERU (Japanese Edition)
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