日本社会や若い世代の「劣化」がしきりに叫ばれる1990年代中盤以降の日本の言論環境において「論客」はどのような振る舞いをしているのか。歴史研究とテキストマイニングの2側面から深く考察。「第10回河上肇賞」最終選考落選論文の電子書籍化です。
【目次】
まえがき
同人誌版まえがき
はじめに
第1部 劣化言説とメディアの歴史
第1章 劣化言説とはなにか
1・1 はじめに
1・2 現代日本人の「劣化」認識とメディア
1・3 「バカを相手に商売している」論客の出現
1・4 なぜ「若者の劣化」言説が求められるのか――原因と理由
第2章 「若者の劣化」言説の原因と理由
2・1 はじめに
2・2 原因:戦後消費文化とアイデンティティ論の形成――「豊かな社会」の中での「不安な自己」(という幻想)
2・3 理由:コンサマトリー化社会の中での若者論
2・4 若者論の「原因と理由」を支持するもの
2・5 第1部まとめ――地位確認行動としての若者論
第2部 劣化言説と若者論の変容
第3章 「新型うつ病」のポリティクス
(『「新型うつ病」のポリティクス』(超文学フリマ in ニコニコ超会議2)再録)
3・1 はじめに
3・2 非定型うつ病への無理解――日本のうつ病論からのアプローチ
3・2・1 「新型」うつ病と「新型でない」うつ病
3・2・2 非定型うつ病とは何か
3・2・3 日本のうつ病論に対する疑念
3・3 「若者論派」精神分析の陥穽――香山リカの変遷から
3・3・1 「30代うつ」から始まった
3・3・2 前史――「解離」論以前の香山リカとその周辺
3・3・3 『インターネット・マザー』
3・3・4 『就職がこわい』
3・3・5 『なぜ日本人は劣化したか』
3・3・6 まとめ
3・4 まとめ――「新型うつ病」のポリティクス
第4章 「ヤンキー」論と広告文化・消費社会論の位相
(『「ヤンキー」論の奇妙な位相』(仙台コミケ216)第1章再録)
4・1 はじめに
4・2 「ヤンキー」論の布置
4・2・1 はじめに
4・2・2 現在の「ヤンキー」論への批判
4・2・3 現在の「ヤンキー」論の形成と差別の再生産
4・2・4 内向きの論理
4・3 おわりに――「批評」の病理をどう見るか
第5章 「若者の右傾化」論はいかにして展開されたか
(『「若者の右傾化」論を総括する』(仙台コミケ217)第1章再録)
5・1 はじめに
5・2 問題意識
5・3 2005年衆院選の「若者論」
5・4 「若者の右傾化」論を受け入れる「ロスジェネ」論客
5・5 「若者の右傾化」論の形成と〈若者〉敵視のポリティクス
5・6 おわりに――近年の「若者の右傾化」論への批判を交えて
第6章 対抗アイデンティティの罠――「新しい働き方」は若者を幸せにするか
(『「働き方」を変えれば幸せになれる?』(サンシャインクリエイション60)第2,3章再録)
6・1 はじめに
6・2 「降りる生き方」の罠――「新しい時代の正義」の何が危ういのか
6・2・1 現代の「降りる」生き方の流れ
6・2・2 現代の若者論との関係性
6・2・3 グローバル化と「降りる」生き方の間で
6・3 若者の「新しい幸せ」の虚妄――古市憲寿試論
6・3・1 はじめに
6・3・2 「豊かさの中の欠乏」から「欠乏の中の豊かさ」、あるいは「リアル」から「ニヒル」
6・3・3 現代の若者論の「完成形」としての古市憲寿
6・4 まとめ――中間の喪失
第7章 まとめ:現代世代論の転換――「豊かさの中の欠乏」から「欠乏の中の豊かさ」へ
(「第10回博麗神社例大祭」サークルペーパー再録)
7・1 はじめに
7・2 現代若者論の形成
7・3 「豊かさの中の欠乏」から「欠乏の中の豊かさ」へ
第3部 劣化言説の計量分析――計量テキスト分析による統計的アプローチ
第8章 問題意識と手法
8・1 はじめに
8・2 計量テキスト分析によるアプローチの概要
8・3 分析の概要
8・4 なぜ香山リカなのか
8・5 分析手法・環境
第9章 分析1――単語を中心とした分析
9・1 はじめに
9・2 対応分析による書籍と単語の分類
9・3 内容の違いの影響に関する分析と考察
9・4 階層的クラスター分析による分類とクラスターごとの単語の分析
9・5 時期による違いの分析
第10章 分析2――コーディングを中心とした分析
10・1 はじめに
10・2 使用するコードとその布置
10・2・1 基礎
10・2・2 推測・推論
10・2・3 経験・伝聞・述懐
10・2・4 比較
10・2・5 比較若者
10・2・6 精神分析・精神医療
10・2・7 時代・思想
10・2・8 政治
10・2・9 経済
10・2・10 その他青少年
10・2・11 その他
10・2・12 人物
10・3 コードに関する分析(単純集計/Jaccard係数)
10・3・1 「若者」「学生」
10・3・2 「かつて」「増える/急増」
10・3・3 「彼ら」「私たち」
10・3・4 「かもしれない」「(し)つつある」「だとしたら/すれば」
10・3・5 「伝聞」「事例」「自分の思い出」
10・3・6 「自己愛」「精神分析(人物)」「新宮一成」
10・3・7 「新宮一成」以外の人物
10・4 コード間の関連に関する分析(対応分析)
10・4・1 書籍単位での分析
10・4・2 内容カテゴリ・クラスターごとの分析
10・4・3 刊行時期ごとの分析
10・5 まとめ――〈香山リカ〉はあなたと一緒に泣いている?
第4部 結論
第11章 まとめ――「劣化言説の時代」における若者論とメディアの変容
11・1 はじめに――ヘイトスピーチと劣化言説の関係性
11・2 再帰的言論――デフレ化するメディアと、アイデンティティをめぐる「闘争」
11・3 再帰的/多元的論客――メディアが求める社会像を反復する「論客」
11・4 おわりに
おまけ
【目次】
まえがき
同人誌版まえがき
はじめに
第1部 劣化言説とメディアの歴史
第1章 劣化言説とはなにか
1・1 はじめに
1・2 現代日本人の「劣化」認識とメディア
1・3 「バカを相手に商売している」論客の出現
1・4 なぜ「若者の劣化」言説が求められるのか――原因と理由
第2章 「若者の劣化」言説の原因と理由
2・1 はじめに
2・2 原因:戦後消費文化とアイデンティティ論の形成――「豊かな社会」の中での「不安な自己」(という幻想)
2・3 理由:コンサマトリー化社会の中での若者論
2・4 若者論の「原因と理由」を支持するもの
2・5 第1部まとめ――地位確認行動としての若者論
第2部 劣化言説と若者論の変容
第3章 「新型うつ病」のポリティクス
(『「新型うつ病」のポリティクス』(超文学フリマ in ニコニコ超会議2)再録)
3・1 はじめに
3・2 非定型うつ病への無理解――日本のうつ病論からのアプローチ
3・2・1 「新型」うつ病と「新型でない」うつ病
3・2・2 非定型うつ病とは何か
3・2・3 日本のうつ病論に対する疑念
3・3 「若者論派」精神分析の陥穽――香山リカの変遷から
3・3・1 「30代うつ」から始まった
3・3・2 前史――「解離」論以前の香山リカとその周辺
3・3・3 『インターネット・マザー』
3・3・4 『就職がこわい』
3・3・5 『なぜ日本人は劣化したか』
3・3・6 まとめ
3・4 まとめ――「新型うつ病」のポリティクス
第4章 「ヤンキー」論と広告文化・消費社会論の位相
(『「ヤンキー」論の奇妙な位相』(仙台コミケ216)第1章再録)
4・1 はじめに
4・2 「ヤンキー」論の布置
4・2・1 はじめに
4・2・2 現在の「ヤンキー」論への批判
4・2・3 現在の「ヤンキー」論の形成と差別の再生産
4・2・4 内向きの論理
4・3 おわりに――「批評」の病理をどう見るか
第5章 「若者の右傾化」論はいかにして展開されたか
(『「若者の右傾化」論を総括する』(仙台コミケ217)第1章再録)
5・1 はじめに
5・2 問題意識
5・3 2005年衆院選の「若者論」
5・4 「若者の右傾化」論を受け入れる「ロスジェネ」論客
5・5 「若者の右傾化」論の形成と〈若者〉敵視のポリティクス
5・6 おわりに――近年の「若者の右傾化」論への批判を交えて
第6章 対抗アイデンティティの罠――「新しい働き方」は若者を幸せにするか
(『「働き方」を変えれば幸せになれる?』(サンシャインクリエイション60)第2,3章再録)
6・1 はじめに
6・2 「降りる生き方」の罠――「新しい時代の正義」の何が危ういのか
6・2・1 現代の「降りる」生き方の流れ
6・2・2 現代の若者論との関係性
6・2・3 グローバル化と「降りる」生き方の間で
6・3 若者の「新しい幸せ」の虚妄――古市憲寿試論
6・3・1 はじめに
6・3・2 「豊かさの中の欠乏」から「欠乏の中の豊かさ」、あるいは「リアル」から「ニヒル」
6・3・3 現代の若者論の「完成形」としての古市憲寿
6・4 まとめ――中間の喪失
第7章 まとめ:現代世代論の転換――「豊かさの中の欠乏」から「欠乏の中の豊かさ」へ
(「第10回博麗神社例大祭」サークルペーパー再録)
7・1 はじめに
7・2 現代若者論の形成
7・3 「豊かさの中の欠乏」から「欠乏の中の豊かさ」へ
第3部 劣化言説の計量分析――計量テキスト分析による統計的アプローチ
第8章 問題意識と手法
8・1 はじめに
8・2 計量テキスト分析によるアプローチの概要
8・3 分析の概要
8・4 なぜ香山リカなのか
8・5 分析手法・環境
第9章 分析1――単語を中心とした分析
9・1 はじめに
9・2 対応分析による書籍と単語の分類
9・3 内容の違いの影響に関する分析と考察
9・4 階層的クラスター分析による分類とクラスターごとの単語の分析
9・5 時期による違いの分析
第10章 分析2――コーディングを中心とした分析
10・1 はじめに
10・2 使用するコードとその布置
10・2・1 基礎
10・2・2 推測・推論
10・2・3 経験・伝聞・述懐
10・2・4 比較
10・2・5 比較若者
10・2・6 精神分析・精神医療
10・2・7 時代・思想
10・2・8 政治
10・2・9 経済
10・2・10 その他青少年
10・2・11 その他
10・2・12 人物
10・3 コードに関する分析(単純集計/Jaccard係数)
10・3・1 「若者」「学生」
10・3・2 「かつて」「増える/急増」
10・3・3 「彼ら」「私たち」
10・3・4 「かもしれない」「(し)つつある」「だとしたら/すれば」
10・3・5 「伝聞」「事例」「自分の思い出」
10・3・6 「自己愛」「精神分析(人物)」「新宮一成」
10・3・7 「新宮一成」以外の人物
10・4 コード間の関連に関する分析(対応分析)
10・4・1 書籍単位での分析
10・4・2 内容カテゴリ・クラスターごとの分析
10・4・3 刊行時期ごとの分析
10・5 まとめ――〈香山リカ〉はあなたと一緒に泣いている?
第4部 結論
第11章 まとめ――「劣化言説の時代」における若者論とメディアの変容
11・1 はじめに――ヘイトスピーチと劣化言説の関係性
11・2 再帰的言論――デフレ化するメディアと、アイデンティティをめぐる「闘争」
11・3 再帰的/多元的論客――メディアが求める社会像を反復する「論客」
11・4 おわりに
おまけ