We love eBooks

    Rikachan (Japanese Edition)

    Por Kazuya Akimoto

    Sobre

    *本作品は、通常の小説(フィクション)ではありません。実験的文学テクストとなります。
    *題名の『リカちゃん』は架空の人名であり、他のフィクションにおける人物名、実在するいかなる人物、また特定の商品名とも全く無関係です。

    *本作品では、フォントの大きさや端末を縦にするか、横にするかという違いにより、レイアウトがかなり変化します。作者の意図は、そのどれでもありますが、特にフォントは小さめがオススメです。また縦置きをイメージしていますが、横置きもかなり面白いレイアウトになりますので、お試しください。



    【形式】
     実験的文学テクスト

    【コンセプトと方法】
     基本的概念は、類書である拙作『これは文学である』と同じで、ひたすら同一語句を反復することにより文学テクストを構成するということにあります。

    その目的は、
    ①言語パターンにおける、パターンの歪みやそのパターン内におけるノイズがそのパターンに及ぼす影響
    ②言語表現における抽象的パターンと《叙情的》感情素の関係の確認

    具体的な方法としては、同語反復を基本的なパターンとした上で、

    ①フォントの大きさを変える。
    ②スペース・改行により、レイアウトをイレギュラーに変える。
    ③基本文字要素は、あくまでも言語(ひらがな・漢字・カタカナ)とするが、通常の句読点、!・?など、また、文字を代替する形で、●・□など一部の記号も使う。
    ④同語反復以外に、レイアウトにも様々なパターンを段落的に設定する。(同語反復はあくまでも含まれるパターンの一つ)

    ⑤パターン中に、パターンを中断させるような異分子、他の情報、同文字反復など誤情報をノイズとして挿入する。


    【解説】
     われわれが高度な認知をするとき、その最大の方法は、その知覚する対象に、パターンを読み取るということです。われわれを取り巻く実際の物理世界も状況も、真実は、常にひとつのカオスであり、本来は認知不可能なのです。それをわれわれは言語や何らかの視覚的パターンで置き換えることで、目の前のカオスに対処できるようになるのです。この観点から、芸術作品とは何かを定義すると、「目の前の作品(対象)内のパターンと、それがわれわれに取り込まれるパターンにずれがあることを鑑賞者に、その作品の鑑賞の過程において認知させるもの」ということになります。この鑑賞の過程におして、ということが意味するのは、作品を目の前にする、あるいは読むという過程においてのみ、そのパターンの確認が可能だということを意味しています。なぜそれが芸術となるのかと言えば、こうした過程を通じてのみ、われわれは、常に不安定な周囲に対しての認知に恒常性を付与することができ、それは同時に絶えずそうした環境変数に応じて、消え去ってしまうわれわれの中の感情素を意識して自分の中に蘇らすことができるからです。前にもこの点については述べたと思いますが、特定の感情素を作品によって恒常的に呼び出せるということこそが、芸術の目的です。勘違いしてはいけないのは、特定の感情素の再体験ではなく、バランスのとれた感情を意図通りに喚起することができるその安定性こそが、ある芸術作品の優越性を意味しているということです。またそうした作品により、絶えず苦し紛れに繰り返している対象のパターン認知という永遠の業苦から、われわれはかろうじて息を継ぐことができるようになります。
     さてところが作品とは見なされない通常のパターンは認知がパターンと見なした時点で、もはや当然のことですが、認知の対象からは脱落します。そしてそれらはもはや知覚する側にとって存在しないものとなります。この手順によって、われわれはある意味でのカオスから脱却することができるのです。しかしこれはある無限の繰り返しを意味していて、知覚者であるわれわれを深刻な不安に陥れます。パターンを読み取って、その対象に意味を見いだせなくなったときに、皮肉にも対象が真のカオスになり、それと同時に、われわれ自身がわれわれにとってカオスになってしまうのです。そこで、どんな原始的社会でもそうですが、ある作品となるべき対象を祭り上げて、そこにバターンの死に場所を設けるのです。これがすべての芸術の根本だとも言えるでしょう。
     こうしてわれわれを受け止めてくれるのが、芸術なのですが、認知にはパターンが必要であり、つまり作品にも必ずパターンがあるということになりますが、通常のパターンであれば、それがパターンであると分かった時点で、作品であることをやめてしまいます。そこで、通常優れた芸術は、知覚に対してそれがパターンであると見せかけて呼び寄せながら、パターン内にあるパターンを完全には構成していない細部(歪み、ノイズ)を見せつけるのです。こうすることで、鑑賞者はそのパターン認知の本来の衝動によって、比喩的にその作品から離れられない循環的状況に陥ります。これは受け身のようですが、実際は本人の衝動がその意図に反して発生させている状況だと言えるのです。しかしこの状況がたとえ反意図的なことであっても、それに消費されるエネルギーがきわめて効率的であるために、当人にとっては決して不快ではないのです。優れた作品はさらに積極的な快をもたらしますが、この点だけでも、ある言語表記は作品を構成することができます。
     基本的にはどの言語要素も、その中にわれわれにとっての感情素を含む可能性があります。たとえば、「さよなら」という言語要素は、別れにつきものの、ある特有の感情素をわれわれに喚起します。通常それらは、あるせつなさとか、名残惜しさとかでしょう。これら感情素は普通は、その要素の下に潜んでしまっていて、なかなか外に出られません。ところが、このパターン認知におけるずれの循環においては、他に矛盾する感情素が存在しないかぎり、それらはごく自然にわれわれの中に復元されるようになります。というのは、その感情素を含む部分が、パターンを構成しているのにも関わらず、パターンから外れているために、知覚がそれらパターンの整合性を再検証しようとするために、感情素のレベルまで言わば、降りてくるからです。こうして、ある意味パターンにおけるノイズでもありえる要素として、目的としたい感情素を含む要素を作品内に配置すると、そこには、本作品でも試みているような、ある「叙情性」が確保されることとなります。

    ・文学理論についてのやや堅苦しい話になりましたが、実際には、本作品は「リカちゃん」という名前を繰り返す中に、ささやかな叙情性を盛り込んだ、十歳くらいの子供、日本語を学びたての外国の方々など、誰にでもわかりやすいテクストとなっています。
    読後に、「ちょっと楽しかった」と感じてもらえれば、それだけで作者にとってこれ以上の喜びはありません。

    ・パターンとして読めば、3分でも読めると思いますが、細部にも意味があるので、できるだけ細かくゆっくり時間をかけて読むことをオススメします。

    ・レイアウトはフォントサイズを変えても不明な場合があります。これは必ずしも作者の意図ではありません。

    ・すべてのレイアウトは、「行」を前提としています。フォントの大小に惑わされず、通常の縦書きの読書のように、上から下へと読んだら、次の行へと進んでください。



    【文字数】
     約75,000字 (ただし、標準的なフォントに換算してあります。また記号、スペースなども文字として計算してあります)

    【表紙デザイン】
     秋元カズヤ
    【表紙絵】
     秋元カズヤ
      「 Abstract White Flower Pattern 」(2009)

    【版歴】
     平成26年6月22日  初版

    *販売価格は予告なく変更されることがあります*

    Baixar eBook Link atualizado em 2017
    Talvez você seja redirecionado para outro site

    eBooks por Kazuya Akimoto

    Página do autor

    Relacionados com esse eBook

    Navegar por coleções eBooks similares