台風一過の秋の日のこと。撤去された自転車を引き取りに来た佐藤は保管所の職員に連れられてひたすら歩かされた。たどり着くとそこは周りに何も見えない野原のただ中、そして保管されているはずの自転車はバラバラになっておりもはや部品の山でしかなかった。自転車の保管期限まであと二日。それを過ぎると自転車は廃棄されてしまう。とにかく佐藤は職員とともに部品を集めようとする。けれども野犬が近づいて二人は危険にさらされる。
美術家の伊佐原が挑むのは野外展示の新作だった。周りに何も見えない野原のただ中に一台の自転車が解体され陳列される、そのような作品だ。ところが現場へ行くと整理されていた部品が散乱している。どうにも烏がいたずらしたようだ。作品の発表まであと二日。とにかく伊佐原とスタッフは部品を回収にかかる。
そんな佐藤と伊佐原の営みの空間が重なって世界は朝を迎えようとしていた。
第22回OMS戯曲賞(2015年)最終候補作品
<第22回OMS戯曲賞の選考経過(『OMS戯曲賞vol.22』)より >
「今は自転車しかない、何もない原っぱという心象風景の得体の知れなさは、正確に物を見ようとしている努力を感じた」 (佐藤信氏)
「散り散りになった自転車、二つに分裂した世界。一見よく似た世界同士の間で意味がねじれ、反転し、噛み合わない。これは芝居を作り続けている表現者の世界と、生活者の世界を描いているのではないか。<中略> 生活者は完璧な世界を築こうと思って日々営みを続け、表現者は世界をたとえ『もどき』として復活したものでも、自分のものとして表現する。その齟齬を丹念にリアルに描いた作品」(生田萬氏)
○登場人物の数 男5女3
○上演記録
2014.9.25-28@東京・サブテレニアン、10.2@埼玉・富士見市民文化会館キラリふじみ
scattered (Japanese Edition)
Sobre
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