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    Secret Storys of Saigyo (Japanese Edition)

    Por TANAKA Kyuzo

    Sobre

    惑ひきて 悟り得べくも なかりつる 心を知るは 心なりけり
    我ばかり 物思ふ人や またもあると 唐土までも 尋ねてしがな
    なかなかに 夢にうれしき あふことは うつつに物を おもふなりけり

    西行はなぜ出家したのか。彼の苦悩は単なる思わせぶりのゼスチャーなのか。それとも何か具体的な失意の体験があったのか。多くの著書がそれを説明しようとしているが、どれも当たってないように思える。小林秀雄などはどうせわからない、と諦めてしまっている。
    本作では、これまであまり注目されることのなかった、源懿子(みなもとよしこ、二条天皇母)を西行の失恋相手と想定して物語りを構築する。

    『梁塵秘抄口伝書』に信西の家来、乙前の子として「清仲」なる者が出てくる。本作ではこの清仲を西行の弟・仲清と同一視する。西行の母は監物(倉庫の出納係)清経の娘とされるが、乙前は青墓目井の養女、清経は目井の旦那、遊女の元締めであろう。つまり清経と目井が養育した娘(遊女の娘なので、実際の父母は不明)が乙前だとすると、うまく辻褄があう。

    主な登場人物:
    西行
    平清盛
    崇徳院
    後白河院
    二条天皇
    蔵王刀自(白拍子)
    祇王御前(白拍子)
    仏御前(白拍子)
    源懿子 二条天皇生母
    源有仁(みなもとありひと)懿子の養父
    鳥羽院 -- 後白河の父
    徳大寺実能(とくだいじさねよし)懿子の叔父。西行の主人
    徳大寺公能 (きみつね)実能の子
    徳大寺多子 (まさるこ)公能の子。二代の后。
    藤原璋子(ふじわらたまこ)後白河の母。待賢門院。
    統子内親王(むねこないしんのう)後白河の姉。上西門院。
    藤原俊成
    源頼朝
    文覚(もんがく)頼朝の側近の僧侶

    義経を討ち、奥州を征伐した頼朝は、上洛し、後鳥羽天皇と後白河院に面会を果たす。かつて二条天皇の蔵人であった頼朝は、二条天皇の側近であった西行が、頼朝助命のために動いてくれていたことを、後白河院から聞く。
    後白河院が漏らした、西行と二条天皇の秘密に、頼朝は驚く。
    頼朝は、数年前に、鎌倉の鶴岡八幡宮で、都で名高い歌人西行が奥州に下る途中、初めて出会ったと思っていたが、実は頼朝は、二条天皇に殿上人として出仕していた頃に、西行から和歌を習っていたことを知る。西行はこの年の如月十六日に死んだと言われているが、誰も確かなことを知らない。
    頼朝は西行の墓にお礼参りに訪れることもできず、鎌倉へ帰っていく。
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