世の中では、「死」というと何か不吉なもの、恐いもの、不幸なものというとらえ方が一般的だと思います。仏教はまったく反対です。「死」という単語自体、幸福のキーワードなのです。「死」は幸福、これはもう紛れもない事実だとするのです。お釈迦様は、出家に「死を観察しなさい」とおっしゃいました。日本語では死随念(「死の瞑想」)と言います。「どんな生命でも死ぬ」ということを、自分なりに観察するのです。本書では、この「死随念」の考え方と実践方法を詳しく解説します。皆さんも、幸福な人生のために、日々の生活の中で、理性に基づいて、しっかりと「死の観察」をしてみてください。
※二〇一〇年十一月二十一日名古屋・崇覚寺でのアルボムッレ・スマナサーラ長老の講演をもとに編集しました。雑誌『サンガジャパン』Vol.5,2011 Spring掲載ののち、『アルボムッレ・スマナサーラ法話選1 業/苦/死』(二〇一二年、サンガ)に、第三章「死隨念」として収録されました。このたび電子書籍として単行本化するにあたって再編集を加えました。
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