shishuu kuuchuukanransha (Japanese Edition)

この詩集は４０編の詩から構成されています。

目次を掲載いたします。

目次

序
一．取り残された無信仰者
二．港街叙景
三．ガムラン
四．北のまちでは
五．デカダン
六．旧約聖書風
七． 第三世界
八．セファルディムの歌
九．コーヒー園の夕暮れ
十．水のうた
十一．未来際を尽くす
十二．死後の世界
十三．拈華微笑
十四．感傷
十五．裸の虫
十六．人生のイブ
十七．焼け跡のイエス
十八．幻想曲
十九．退廃の美酒
二十．徒手空拳
二十一．オルティンドウ
二十二．カルマ
二十三．暗い海
二十四．天使の糧
二十五．ベナレスにて
二十六．風間浦村心中行
二十七．空中観覧車
二十八．無題(一)
二九．堕落論
三〇．酔いどれ詩人
三十一．愛するサン・パウロ
三十二．老皇帝の憂い
三十三．無題（二）
三十四．恆河の岸辺
三十五．西域幻想
三十六．風に散乱する声
三十七．わたしがゆく街
三十八．長者と黄金
三十九．わが生々流転
四十．南無観世音菩薩
後序

これらの詩編は、すべて、現実に経験した外的なもの内的なものに触発された創作です。

最初の１，２編を紹介します。

一．取り残された無信仰者

彼女は　おれが昨晩やった金をすべて乞食の坊さまに
施して　しまった。
こうすれば　少しでも　自分の罪障が除かれると
信じている。
千人の男を　愛せば　天に生まれ　かわれると
信じている。
彼女の無知を　部屋の片すみで
おれは　冷たく　笑う。

二．港街（みなとまち）叙景

異国の大道芸人が
悲しいサックスの音（ね）を　ひびかせれば
この街の就寝時間です。
昼間の熱狂も　さめ
石の舗道に　ゆきかう
革ぐつの　おとも少なく
心づけを　願う　帽子の中に
今日も　お金は　たまりませんでした。
善良な親子づれも
幸せな恋人たちも
孤独な徘徊者も
お客のつかなかった　そでひき女も
今は　もう　眠りなさい。
音符の中に　祈りをこめるのは　
わたしです。
すべての　ものの上に
ひとしく　日の照らす
あしたが　来るのを
祈るのは　わたしです。

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