人が「生きている」ということは、つまるところ「生きるため」の様々な問題やトラブルを惹き起こすことであり、好むと好まざるとに関わらず、ことの広狭大小を問わず、実人生の日々は戦いの連続であり、その最高形態が則ち戦争である、と言わざるを得ません。
その本質たる対立闘争の原理を鋭く洞察し、高度な抽象的思考をもって簡潔かつ体系的に論じたものが孫子です。その根底には「変化」を重視する弁証法的思考が一貫しているゆえに、その応用範囲は極めて広く、ひとり軍事面のみに止まらず、あまねく人間の社会生活に通用する道を説くものであり、これを学ぶことは、まさに戦いの連続たる実人生の世界を強く生き抜くための叡智を磨くことに他なりません。孫子が「最古にして最新の稀有な書物」と評される所以であります。
今回の内容は、下記の目次に示す通りですが、とりわけここでは孫子兵法の理論体系(全体構造)と体系図についてご紹介いたします。
孫子研究者として夙(つと)に有名な佐藤賢司氏はそのご著書において(日本と中国を通じて)孫子の理論体系(全体構造)を最初に見い出した人は彼の山鹿素行であると絶賛されております。
山鹿素行が、(孫子十三篇全体は)あたかも首(かしら)・中身(胴体)・尾という言わば有機的構造をもって連動する一つの体系であると喝破した点はまさに慧眼であります。が、しかし、肝心の内容たる具体的な連関関係の説明という点においては、必ずしも理路整然・首尾一貫しているとは言い難く、そのゆえに、結局は、従来の解釈と同じく隔靴掻痒(かっかそうよう:かゆいところを靴の上から掻く意。物事が徹底しないで核心に触れないこと)の感が否めせん。
何事であれ、物事の結果には必ず原因があります。古来、孫子の解説がなぜに「隔靴掻痒」的なものとならざるを得なかったのか、についても立派な理由があります。その点について、【孫子正解】第二回では、明快かつ詳細に論じております。
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【孫子正解】シリーズ 十三篇全体の目次
第一部 孫子兵法の学び方
・なぜ孫子兵法を学ぶのか
・管子、老子、孔子と孫子兵法との関係
・なぜ孫子兵法は難解とされるのか
・孫子の効果的な学び方(コツ)
・孫子十三篇「素読のすすめ」とそのやり方
・孫子兵法と脳力開発を併行して学ぶ意義 ・脳力開発のやり方の趣旨
第二部 孫子十三篇の理論体系と全体構造篇
・理論体系図
・各篇の趣旨と相互の関係
・脳力開発の根幹たる習慣づくり(習慣論)について
第三部 孫子の戦争観と用兵思想篇 …〈第一篇 計〉・〈第二篇 作戦〉
第四部 用兵総論〈第三篇 謀攻〉
第五部 戦法篇(用兵各論・基本的用兵論)
1、強者の戦法
孫子十三篇全体における不言の語 … 特に〈第三篇 謀攻〉、〈第九篇 行軍〉
2、兵力比互角の戦法
〈第四篇 形〉・〈第五篇 勢〉
3、弱者の戦法(局所集中戦略)
〈第六篇 虚実〉・〈第七篇 軍争〉・〈第八篇 九変〉
第六部 組織運用と統率篇(用兵上の諸原則)
〈第九篇 行軍〉・〈第十篇 地形〉
第七部 弱者の戦法総括篇・決戦的敵国侵攻作戦(応用的用兵論)
〈第十一篇 九地〉
第八部 火攻作戦篇(特殊的用兵論)
〈第十二篇 火攻〉・前半部
第九部 全用兵論の総結言篇
〈第十二篇 火攻〉・後半部
第十部 情報篇(先知の兵法たる孫子十三篇を総括するものであり、兵の大本を貫くもの)
〈第十三篇 用間〉
第十一部 資料篇
1、孫子十三篇「素読用テキスト」
2、孫子兵法校記(宋本十一家註孫子と竹簡孫子との比較)
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【孫子正解】シリーズ 第二回「孫子十三篇の理論体系と全体構造篇」目次
第一章 別表・孫子十三篇の理論体系図(全体構造)
第二章 十三篇各篇の趣旨、及び各篇相互の体系的関係
①孫子の戦争観・用兵思想〈第一篇 計〉
②国家経済的見地よりする戦争観・用兵思想〈第二篇 作戦〉
③用兵総論〈第三篇 謀攻〉
④強者の戦法論(十三篇全体における不言の言)
⑤兵力比互角の戦法論〈第四篇 形〉・〈第五篇 勢〉
⑥弱者の戦法論〈第六篇 虚実〉・〈第七篇 軍争〉・〈第八篇 九変〉
⑦統率と組織運用論〈第九篇 行軍〉・〈第十篇 地形〉
⑧死地作戦篇―応用的用兵論〈第十一篇 九地〉
⑨火攻作戦篇―特殊的用兵論〈第十二篇 火攻〉・前半部
⑩全用兵論の総結言〈第十二篇 火攻〉・後半部
⑪情報篇〈第十三篇 用間〉⑫情報篇と用兵篇とのスパイラルなラウンド展開
第三章 〈第三篇 謀攻〉…「戦わずして勝つから、戦いて勝つ」までの体系的関係
①必ずまず計謀をもって第一とする
②「戦わずして人の兵を屈する」の意味
③どのような戦い方をすれば国民は納得するか
④「戦わずして勝つから、戦いて勝つまで」と奇正との関係
⑤〈第一篇 計〉、〈第二篇 作戦〉、〈第三篇 謀攻〉、〈第十三篇 用間〉の相関図
第四章 情勢分析と情勢判断(決断・決心を含む)との関係
①情勢判断の本質(本質)とは
②情勢分析のための思考方法・その一
③情勢分析のための思考方法・そのニ
第五章 情勢判断における戦略レベルの決断と、戦術レベルの決心の関係
①戦略(勝ち目の輝く自分の進むべき方向)の確立・確定について
②戦術の立案・決定(最適な方法手段を決定・実行する)について
③戦略的決断・戦術的決心の本質について
第六章 脳力開発の根幹たる習慣づくり(習慣論)について
①習慣づくり(習慣論)とは、道徳論・人格(品性)論・仕事論である
②習慣づくりの目的は、智恵(適確な情勢判断力)が働く状態をつくることにある
③習慣づくりは、まさに「論より証拠」であって、「言葉」の問題ではない
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著者プロフィール
・山梨県出身、甲斐源氏加賀美次郎遠光の後裔
・陸上自衛隊第三十一普通科連隊
・拓殖大学政経学部(拓空会OB)
・ラジオ日本・報道部放送記者、報道番組制作、都庁鍛冶橋記者クラブ他
・宝石貴金属販売会社経営
・(財)中小企業経営者災害補償事業団 教育学院副学院長
・現在、孫子塾の塾長として「孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法」オンライン通信講座、通学ゼミ講座を主宰し、関連書籍の執筆活動を行うと共に、併設する拓心観道場主席師範として「古伝空手・琉球古武術」の指導と普及に当る。
その本質たる対立闘争の原理を鋭く洞察し、高度な抽象的思考をもって簡潔かつ体系的に論じたものが孫子です。その根底には「変化」を重視する弁証法的思考が一貫しているゆえに、その応用範囲は極めて広く、ひとり軍事面のみに止まらず、あまねく人間の社会生活に通用する道を説くものであり、これを学ぶことは、まさに戦いの連続たる実人生の世界を強く生き抜くための叡智を磨くことに他なりません。孫子が「最古にして最新の稀有な書物」と評される所以であります。
今回の内容は、下記の目次に示す通りですが、とりわけここでは孫子兵法の理論体系(全体構造)と体系図についてご紹介いたします。
孫子研究者として夙(つと)に有名な佐藤賢司氏はそのご著書において(日本と中国を通じて)孫子の理論体系(全体構造)を最初に見い出した人は彼の山鹿素行であると絶賛されております。
山鹿素行が、(孫子十三篇全体は)あたかも首(かしら)・中身(胴体)・尾という言わば有機的構造をもって連動する一つの体系であると喝破した点はまさに慧眼であります。が、しかし、肝心の内容たる具体的な連関関係の説明という点においては、必ずしも理路整然・首尾一貫しているとは言い難く、そのゆえに、結局は、従来の解釈と同じく隔靴掻痒(かっかそうよう:かゆいところを靴の上から掻く意。物事が徹底しないで核心に触れないこと)の感が否めせん。
何事であれ、物事の結果には必ず原因があります。古来、孫子の解説がなぜに「隔靴掻痒」的なものとならざるを得なかったのか、についても立派な理由があります。その点について、【孫子正解】第二回では、明快かつ詳細に論じております。
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【孫子正解】シリーズ 十三篇全体の目次
第一部 孫子兵法の学び方
・なぜ孫子兵法を学ぶのか
・管子、老子、孔子と孫子兵法との関係
・なぜ孫子兵法は難解とされるのか
・孫子の効果的な学び方(コツ)
・孫子十三篇「素読のすすめ」とそのやり方
・孫子兵法と脳力開発を併行して学ぶ意義 ・脳力開発のやり方の趣旨
第二部 孫子十三篇の理論体系と全体構造篇
・理論体系図
・各篇の趣旨と相互の関係
・脳力開発の根幹たる習慣づくり(習慣論)について
第三部 孫子の戦争観と用兵思想篇 …〈第一篇 計〉・〈第二篇 作戦〉
第四部 用兵総論〈第三篇 謀攻〉
第五部 戦法篇(用兵各論・基本的用兵論)
1、強者の戦法
孫子十三篇全体における不言の語 … 特に〈第三篇 謀攻〉、〈第九篇 行軍〉
2、兵力比互角の戦法
〈第四篇 形〉・〈第五篇 勢〉
3、弱者の戦法(局所集中戦略)
〈第六篇 虚実〉・〈第七篇 軍争〉・〈第八篇 九変〉
第六部 組織運用と統率篇(用兵上の諸原則)
〈第九篇 行軍〉・〈第十篇 地形〉
第七部 弱者の戦法総括篇・決戦的敵国侵攻作戦(応用的用兵論)
〈第十一篇 九地〉
第八部 火攻作戦篇(特殊的用兵論)
〈第十二篇 火攻〉・前半部
第九部 全用兵論の総結言篇
〈第十二篇 火攻〉・後半部
第十部 情報篇(先知の兵法たる孫子十三篇を総括するものであり、兵の大本を貫くもの)
〈第十三篇 用間〉
第十一部 資料篇
1、孫子十三篇「素読用テキスト」
2、孫子兵法校記(宋本十一家註孫子と竹簡孫子との比較)
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【孫子正解】シリーズ 第二回「孫子十三篇の理論体系と全体構造篇」目次
第一章 別表・孫子十三篇の理論体系図(全体構造)
第二章 十三篇各篇の趣旨、及び各篇相互の体系的関係
①孫子の戦争観・用兵思想〈第一篇 計〉
②国家経済的見地よりする戦争観・用兵思想〈第二篇 作戦〉
③用兵総論〈第三篇 謀攻〉
④強者の戦法論(十三篇全体における不言の言)
⑤兵力比互角の戦法論〈第四篇 形〉・〈第五篇 勢〉
⑥弱者の戦法論〈第六篇 虚実〉・〈第七篇 軍争〉・〈第八篇 九変〉
⑦統率と組織運用論〈第九篇 行軍〉・〈第十篇 地形〉
⑧死地作戦篇―応用的用兵論〈第十一篇 九地〉
⑨火攻作戦篇―特殊的用兵論〈第十二篇 火攻〉・前半部
⑩全用兵論の総結言〈第十二篇 火攻〉・後半部
⑪情報篇〈第十三篇 用間〉⑫情報篇と用兵篇とのスパイラルなラウンド展開
第三章 〈第三篇 謀攻〉…「戦わずして勝つから、戦いて勝つ」までの体系的関係
①必ずまず計謀をもって第一とする
②「戦わずして人の兵を屈する」の意味
③どのような戦い方をすれば国民は納得するか
④「戦わずして勝つから、戦いて勝つまで」と奇正との関係
⑤〈第一篇 計〉、〈第二篇 作戦〉、〈第三篇 謀攻〉、〈第十三篇 用間〉の相関図
第四章 情勢分析と情勢判断(決断・決心を含む)との関係
①情勢判断の本質(本質)とは
②情勢分析のための思考方法・その一
③情勢分析のための思考方法・そのニ
第五章 情勢判断における戦略レベルの決断と、戦術レベルの決心の関係
①戦略(勝ち目の輝く自分の進むべき方向)の確立・確定について
②戦術の立案・決定(最適な方法手段を決定・実行する)について
③戦略的決断・戦術的決心の本質について
第六章 脳力開発の根幹たる習慣づくり(習慣論)について
①習慣づくり(習慣論)とは、道徳論・人格(品性)論・仕事論である
②習慣づくりの目的は、智恵(適確な情勢判断力)が働く状態をつくることにある
③習慣づくりは、まさに「論より証拠」であって、「言葉」の問題ではない
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著者プロフィール
・山梨県出身、甲斐源氏加賀美次郎遠光の後裔
・陸上自衛隊第三十一普通科連隊
・拓殖大学政経学部(拓空会OB)
・ラジオ日本・報道部放送記者、報道番組制作、都庁鍛冶橋記者クラブ他
・宝石貴金属販売会社経営
・(財)中小企業経営者災害補償事業団 教育学院副学院長
・現在、孫子塾の塾長として「孫子に学ぶ脳力開発と情勢判断の方法」オンライン通信講座、通学ゼミ講座を主宰し、関連書籍の執筆活動を行うと共に、併設する拓心観道場主席師範として「古伝空手・琉球古武術」の指導と普及に当る。