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    Soudattanoka Edobakufu Edobakufunoseisaku keizai-zaisei-shakai MCD Books (Japanese Edition)

    Por Abira Unken

    Sobre

    合議体制の成立や中央銀行の設立、機械化・工業化の推進など、一般的に日本の近代化が始まったのは明治維新以降、つまり明治時代とされている。確かに明治維新は欧米列強に抑圧されてきたアジア諸国にとって近代革命の模範となった。また、第二次世界大戦で敗戦国となった日本が高度経済成長を成し遂げ、世界の列強の仲間入りしたことは「アジアの奇跡」とも呼ばれてきた。その起点は明治維新にあるという文脈である。

    しかし、明治維新成功の背景に、その前段階である江戸時代に目を向けてみれば、労働生産性や教育水準の高さがあり、市場原理主義の浸透があり、マニュファクチュアやギルド(組合)の成立があり、官(幕府)民(商人や職人)の仕事を明確に分けた公共事業の推進と民営化があるなど、すでに近代の合理的な考え方を受け入れる素地が備わっていたことは見逃せない。つまり、「近代化への助走」は、すでに江戸時代に始まっていたのである。

    本書は、江戸時代に生まれた近代化の萌芽を政治・経済の両面から具体的に紹介していくものである。着目点は、近代的な発想、科学的・合理的な思考の基盤を江戸時代から拾い上げることにある。

    18世紀初頭、すでに人口が約100万人であったとされる江戸は当時世界最大規模の都市だった。ロンドンやパリが50万人前後であったことを考えると、必然的に政策面でも産業面でも都市生活の基盤が築かれていたと想像できる。おそらく都市生活を送るための最低限のインフラ整備やしっかりとした税制が敷かれていたであろうし、公共事業や民間事業も進められていたと思われる。また、各種の制度が敷かれ、それを推進したり、実施したりする担当者もいたであろう。もちろん、それらの決定機関、組織があったはずである。

    また、商人や職人が安全な都市生活を送ることができる警察機関は不可欠であるし、安全な生活を脅かす者や不正な行いをした者に対して刑罰を下す機関も不可欠である。

    たとえば都市生活のインフラ整備の一例として、水道整備がある。神田上水、玉川上水、青山上水、三田上水、亀有上水、千川上水の6上水による「江戸水道」は規模だけにスポットを当てれば、世界一であったと想像できる。江戸時代に誕生した神田上水と玉川上水は、17世紀中頃には地下式上水道としては、延長150キロという世界最大の上水道にまで発展した。これは誰かが都市生活者に役立つために行った事業、すなわち公共事業である。それほどの公共事業を推進するには、幕府の政策として事業を決定する機関が機能したであろうし、莫大な資金と組織的な労働力が必要であったことは容易に想像できる。

    また、徳川家康が日本の銀需要を支える石見銀山を幕府直轄領としたことも興味深い。銀山開発の費用・資材(燃料など)を賄うため、周辺の郷村に直轄領である石見銀山領(約5万石)が設置されたのである。幕府は銀山のマネジメントを担う銀山奉行を派遣。その銀山奉行は山師(鉱山経営者)らを使って石見銀山開発を急速に進め、家康に莫大な銀を納め、朱印船貿易の元手にもなった。石見銀山の開発は幕府の資金源の確保だけでなく、民間労働者の雇用促進の面からも近代的で合理的な政策であり、重要な事業だったのである。

    このように江戸時代にはすでに近代的合理主義が生まれ、マネジメントのしくみが機能し、幕府がつくった制度が稼動してことがわかる。多方面から江戸時代には学ぶべきことがある。それらは決して役に立たない雑学ではなく、経済や政治が向かう普遍的な側面を教えてくれるであろう。温故知新は、意外なことに新しい発想やブレイクスルーにもつながることがある。本書がそういった発想の突破口になれば幸いである。
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