近年、新興国を中心とした人口増加に伴い、世界的に食糧不足が懸念されており、日本国内においても天候不順による不作が問題となっている一方で、中国の食の安全性の問題を機に、農業が注目されはじめた。
農業が注目される事になったもう一つの機会はリーマンショックである。リーマーンショックにより、人間の欲望と消費がベースになっているコモデティ産業界に大打撃を与えたが、リーマンショックでもあまり影響を受けなかったのが、医療、農業といったソーシャルビジネスである。
もう一つの流れがグローバルなメガコンペテイションからの一部産業での敗退である。特に半導体や液晶、スマホ、PCといったAV機器やコンピュター業界は、韓国・台湾・中国勢の圧倒的なパワーで押されている。
一方、先進国を中心に都市部における人口の過密化や高齢化により、農地の確保や農業従事者が年間平均20万人減少すると予想されている。
そこでIT技術やロボットなどの先端技術を活用した植物工場システムの導入が、安全かつ安定的な農産物生産に向けた解決策となり、農業が韓国・台湾・中国勢によって喪失されたエレクトロニクス産業の雇用の受け皿になる事も期待されている。
エレクトロニクス産業に比較して農業はグローバルな競争も確かに存在しているが、国家セキュリティ上の問題や雇用の問題やいろいろなしがらみもあって、まだまだローカルビジネスである要因も大きい。
このような要因があいまって事業として安定しており、グローバルな戦いを避ける事が、可能な農業に再び注目が集まっている。
しかし農業を目指す先には本当にブルーオーシャンが広がっているのだろうか?
エレクトロニクス産業は日本のGDPの大きなウェイトを支えてきた。農業がエレクトロニクス産業が産み出して来た付加価値や雇用の補填が果たして可能なのか?
その鍵は農業の先端化が握っている。
農業の先端化で常につきまとう課題はコストである。例えば植物工場産レタスの価格は1キログラム当たり1100~1500円に対し、露地物は300~600円である。植物工場が成り立つためには、露地栽培に対抗可能な新たな付加価値の創造が不可欠である。
一方で、近年は都市型農業が注目されている。都道府県別農業出荷額をみてみよう。北海道が確かにダントツ1位であるが、2位茨城県 3位千葉県とベスト3に関東2県がランクインしている。
これは茨城、千葉の両県が大消費地である東京都市圏をバックにして、近郊農業が盛んである事を意味している。都市型近郊農業は都市住民に新鮮で安全な農産物を供給するだけでなく、水や緑,自然空間も提供している。
本書で紹介する千葉の和郷園は都市近郊部の立地条件を生かして、農業リゾート構想に向けた活動を推進しており、産地直売所、貸し農園、ミニ牧場、温泉(かりんの湯)、ロッジ等を経営する事により、都会人にレジャーやリラックゼーションも提供するとともに、和郷園の知名度を上げる事により、農作物のブランド戦略と融合させている。
都市部における近郊農業はヒートアイランド対策としても有効である。植物工場での技術はこのような近郊農業の発展にも役に立つ。
一方、完全制御型(閉鎖型)植物工場は、その高い面積生産性から都市部のビル内での農作物の生産にも可能性をしめしている。
人材派遣会社のパソナは大手町にある自社ビルのビル地下で実験的な完全制御型植物工場を運営している。まだまだショールーム的色彩がぬぐえないが、こうして農業に興味を持った都会人に対し、淡路島に教育ファームを運営するとともに就農支援も行っている。
農業はその生産施設により、
①露地栽培 ②施設園芸 ③水耕栽培 ④植物工場 又はそれらの組み合わせで分類される。
①露地栽培については、日本においての課題は、まずは農地の集約化による規模の拡大であり、その上で本書で述べるクラウド化による高度化である。
②施設園芸では日本よりも国土の狭い九州程の面積のオランダが企業や研究機関の誘致による産学連携での農業の自動化・高度化で先行している。結果、高生産性を実現し、強い国際競争力を誇っている。なんとオランダは農産物輸出国としては世界第二位の地位を誇っている。同書でもオランダの取り組みを随時紹介していく。
果たしてそのような中、植物工場はどの方向に向かうべきなのか?
このような視点での植物工場に関する教科書的な書籍・解説書はあまり存在していなかった。先端農業研究会は、ここにより分かりやすい教科書を目指した当該電子書籍を上梓した次第である。
目次
・はじめに
・植物工場の市場動向について
・植物工場におけるコスト分析と国の施策
・最も重要な出口戦略
・植物工場のビジネスモデルの検証
・植物工場ファンドの設立提案
・クラウドと農業
・植物工場とエネルギーマネジメント
・植物工場の不都合な真実
・農業におけるセンシング技術
・植物用光源と水耕栽培
・植物工場と品種改良
・植物工場と農業ロボット
・アグロメディカル
・植物工場イノベーションプラットフォームの必要性
・最後に
Syokubutukojyo No Kyokasyo (Japanese Edition)
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