2009年7月22日は日本の上空で46年ぶりに皆既日食が観測できる日だった。
その日、人生に絶望していた大浦美月は自ら命を絶つことを決心し、美しく死ねる場所を求めて独り旅に出た。
その頃、海沿いの地方都市にある市立科学館に勤務する夏堀太陽は、交通事故に遭って以来10年以上も眠り続ける妻、美季子を見舞いながらプラネタリウムで自らの企画した番組『太陽の欠ける夏』を投影していた。
太陽の妻が眠る同じ病室では、アルツハイマー病を患う哲学博士、古瀬雅春が自らの日々失われていく記憶を繋ぎとめようと静謐かつ孤独な戦いを続けていた。
一方、眠り続ける美季子はその夢の中で現実へと覚醒すべく、不条理が秩序を持ってしまった意識の世界から脱出しようと「出口」を探していた。
太陽の息子、学(まなぶ)は脳腫瘍で入院中の同級生の少女に請われて「青いカブトムシ」を採集すべく森へと出かけて行き……。
皆既日蝕の訪れと共に、彼等の精神や記憶に巣食っていた孤独や闇、虚無が増幅し、やがて世界全体をも呑み込もうとしていた……。
日蝕とともに訪れた人生の転機をめぐる、ひと夏の哲学的ファンタジック・アドヴェンチャー。
Taiyou No Kaketa Natsu (Japanese Edition)
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