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    teradatorahikokessakusenn (Japanese Edition)

    Por teradatorahiko

    Sobre

    寺田寅彦1 傑作選 著作者別ランキングで上位の作品から選定を行っています。
    今回は第1版として、
    科学者と頭
    アインシュタイン
    天災と国防
    日本人の自然観
    を掲載しました。この4作品の出だしの部分は以下です。
    ……………………………………………………
    科学者とあたま
    私に親しいある老科学者がある日私に次のようなことを語って聞かせた。
    「科学者になるには『あたま』がよくなくてはいけない」これは普通世人の口にする一つの命題である。これはある意味ではほんとうだと思われる。しかし、一方でまた「科学者はあたまが悪くなくてはいけない」という命題も、ある意味ではやはりほんとうである。そうしてこの後のほうの命題は、それを指摘し解説する人が比較的に少数である。
    この一見相反する二つの命題は実は一つのものの互いに対立し共存する二つの半面を表現するものである。この見かけ上のパラドックスは、実は「あたま」という言葉の内容に関する定義の|曖昧(あいまい)不鮮明から生まれることはもちろんである。
    論理の連鎖のただ一つの輪をも取り失わないように、また混乱の中に部分と全体との関係を見失わないようにするためには、正確でかつ|緻密(ちみつ)な頭脳を要する。紛糾した可能性の岐路に立ったときに、取るべき道を誤らないためには前途を見透す内察と直観の力を持たなければならない。すなわちこの意味ではたしかに科学者は「あたま」がよくなくてはならないのである。
    ……………………………………………………
    アインシュタイン
    一  この間日本へ立寄ったバートランド・ラッセルが、「今世界中で一番えらい人間はアインシュタインとレニンだ」というような意味の事を誰かに話したそうである。この「えらい」というのがどういう意味のえらいのであるかが聞きたいのであったが、遺憾ながらラッセルの使った原語を聞き洩らした。
    なるほど二人ともに革命家である。ただレニンの仕事はどこまでが成効であるか失敗であるか、おそらくはこれは誰にもよく分らないだろうが、アインシュタインの仕事は少なくも大部分たしかに成効である。これについては世界中の信用のある学者の最大多数が裏書をしている。仕事が科学上の事であるだけにその成果は極めて鮮明であり、従ってそれを仕遂げた人の科学者としてのえらさもまたそれだけはっきりしている。
    ……………………………………………………
    天災と国防
    「非常時」というなんとなく不気味なしかしはっきりした意味のわかりにくい言葉がはやりだしたのはいつごろからであったか思い出せないが、ただ近来何かしら日本全国土の安寧を脅かす黒雲のようなものが遠い水平線の向こう側からこっそりのぞいているらしいという、言わば取り止めのない悪夢のような不安の陰影が国民全体の意識の底層に|揺曳(ようえい)していることは事実である。そうして、その不安の|渦巻(うずまき)の回転する中心点はと言えばやはり近き将来に期待される国際的折衝の難関であることはもちろんである。
    そういう不安をさらにあおり立てでもするように、ことしになってからいろいろの天変地異が|踵(くびす)を次いでわが国土を襲い、そうしておびただしい人命と財産を奪ったように見える。あの恐ろしい|函館(はこだて)の大火や近くは北陸地方の水害の記憶がまだなまなましいうちに、さらに九月二十一日の|近畿(きんき)地方大風水害が突発して、その損害は容易に評価のできないほど|甚大(じんだい)なものであるように見える。国際的のいわゆる「非常時」は、少なくも現在においては、無形な実証のないものであるが、これらの天変地異の「非常時」は最も具象的な眼前の事実としてその惨状を暴露しているのである。
    ……………………………………………………
    日本人の自然観
    緒言
    「日本人の自然観」という私に与えられた課題の意味は一見はなはだ平明なようで、よく考えてみると実は存外あいまいなもののように思われる。筆を取る前にあらかじめ一応の検討と分析とを必要とするもののようである。
    これは、日本人がその環境「日本の自然」をいかに見ていかに反応するか、ということ、またそれが日本人以外の外国人がそれぞれの外国の自然に対する見方とそれに対する反応しかたと比べていかなる特色をもつかということを主として意味するように思われる。そうして第二次的には外国人が日本の自然に対する見方が日本人とどうちがうかということも問題になりうるわけである。
    もしも自然というものが地球上どこでも同じ|相貌(そうぼう)を呈しているものとしたら、日本の自然も外国の自然も同じであるはずであって、従って上記のごとき問題の内容吟味は不必要であるが、しかし実際には自然の相貌が至るところむしろ驚くべき多様多彩の変化を示していて、ひと口に自然と言ってしまうにはあまりに複雑な変化を見せているのである。こういう意味からすると、同じように、「日本の自然」という言葉ですらも実はあまりに|漠然(ばくぜん)とし過ぎた言葉である。北海道や|朝鮮(ちょうせん)|台湾(たいわん)は除外するとしても、たとえば南海道九州の自然と東北地方の自然とを一つに見て論ずることは、問題の種類によっては決して妥当であろうとは思われない。
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    ■ 標記 ………………………………………………
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