大英帝国の外交官、シノロジストの家系であるGiles家が、2500年前の戦争思想『孫子』を忠実に英語訳し近代に甦らせて完成した'THE ART OF WAR'。
この度KFF財団(日本の一般財団法人)は、その人類の知的遺産といっても過言ではないGiles訳の英語版孫子を基として、日本国内にある孫子文献との比較しつつ、英語・日本語バイリンガル版孫子兵法を編纂した。
英語学習者の便宜のため、全13編を1篇づつの短編にして発行することとなった。本書は13編中の第四「形篇」である。形とは英語ではTactical Dispositionと訳され、「戦術的な配備」を意味する。その主眼は「戦いは既に勝ってから臨むべきもの」というところにある。
本書は、本文をオリジナルの英語文献と同じ程よい長さで区切り(ジャイルズ通し番号)、単語の意味と直訳を施して、気になる文法は解説を加えている。さらに中国語原文(日本語書き下し)も付し、要所では孫子が著された春秋戦国時代の背景や軍事知識等を解説しており、Giles英文に対するより深い検討が可能になっている。
孫子英文は訳者であるジャイルズの才覚により非常に高精細に英語化する工夫に満ちており、これを日本語に訳し戻し、中国語の原文(和文書き下し)と比較することは、非常に新しく面白い試みである。英語学習の上でも、さまざまな新しい発見をもたらしてくれるであろう。
グローバリズムと地政学の重要性がますます際立つ現代において、英語の学習のみならずリベラルアーツとしての孫子思想に関する知識拡充は有益である。本書はその一助となることができるように心をくだいている。
なお、全編版は、孫子兵法13篇全てを収録し、さらにプロローグとエピローグとしてKFF財団研究員による2通の研究論文を載せている。『孫子』の現代的な読み方への提言や、孫子兵法を一歩超えた「法」そのものの存在の東西文明間での融合を視野に入れたKFF財団最先端の研究であり、是非全編版もご一読いただきたい。
本書は全ての人にとり、面白い学習書であるばかりでなく、興味深い実践の書となろう。
是非KINDLEに入れて持ち出し、如何なるタイプの戦場(the front)でもご愛読頂きたい。
The art of war: The Art of War Tactical Dispositions (Japanese Edition)
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