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    The Bet of the Genius Mathematician 2: The Immoral Play of the Woman The Genius Mathematician series (Japanese Edition)

    Por KANAN Kimio

    Sobre

    <作品の内容>
     ギャンブル好きの天才数学者・幸田は、毎週火曜と金曜の夜7時に吉祥寺のバー『みなさんのおかげ』に姿を見せる。ある晩、携帯電話ユーザーサポート店のお姉さん・光(ひかり)が店にやってきた。そして、店員の月子が歴史クイズを出し、幸田と光の2人で勝負をすることになった。新感覚の数学・ギャンブル小説第2弾。幸田たちとともに、読者の皆さんも歴史クイズにチャレンジしてください!
     第1版。
     文字数約22000字。

    <作中より引用1>
     これでいいんじゃないか?
     幸田(こうだ)こと緑川智樹(みどりかわともき)は、心の中でそうつぶやいた。
     昼食後から自宅の机に向かっていたが、時刻は午後5時を過ぎていた。あっという間に時が過ぎた感覚だった。吉祥寺のワンルームマンションのその一室は、その間、その研究のためだけにその場所を提供していた。
     彼は、数学界のノーベル賞とも呼ばれるフィールズ賞を受賞した経験もある、天才数学者だ。そして近年、彼は「リーマン予想」という問題に取り組んでいた。
    「リーマン予想」とは、1859年にリーマンという数学者が論文に記した仮説であり、「ゼータ関数の自明ではない零点の実数部は、すべて1/2(2分の1)である」と表されるものだ。この仮説が、正しいのか間違っているのか、150年以上も決着がついていないのであった。
    「ゼータ関数」とは、ある級数(無限の数列の和)で作られた関数である。
     ちなみに関数とは、ある値を入力すると、一定のルールに応じた値が出力される式のことだ。たとえばf(x)=2xという関数ならば、xに1を入れると2が、xに2を入れると4が、xに3を入れると6が出てくる。なお、この関数の左辺の表記「f(x)」は、「関数全般を意味するfunctionのf」と「入力する値x」を用いて、便宜的に「これはxに値を入力する関数である」という意味を持たせているにすぎない。中学生ならば、f(x)=2xではなくy=2xと書くだろう。その場合は、xが入力する値で、yが出力される値だ。
     ゼータ関数だが、これは無限に続く級数であるため、値が収束する場合(最終的に定まる)と、発散する場合(最終的に定まらない)がある。そして、式を変形させ、負の整数や複素数など、様々な数を入力しても収束するように操作ができる。ちなみにその操作は、「定義域を拡張する」と呼ばれる。また、複素数とは、虚数部分(2乗すると-1になる「i」を用いる)と実数部分(i以外のすべての数で、負の整数、分数、無理数などを含む)で成り立つ、人間が用いる最も空想的な数だ。「2+5i」などが複素数である。
     ゼータ関数に負の偶数を入力すると、出力される値が0になる。これが、リーマン予想における「自明な零点」だ。しかし、複素数まで定義域を拡張し、出力が0になる入力値を探すと、実数部が常に1/2になる。そして、無限にある零点は、自明である負の偶数を除くとその実数部が必ず1/2になる、という予想がリーマン予想である。
     今のところ、自明でない零点で、実数部が1/2でない入力値は見つかっていない。そして逆に、実数部が1/2である自明でない零点は、膨大に見つかっている。この成果を考えれば、数学以外の科学ならば、リーマン予想は真であると、結論を下すであろう。しかし、数学の厳密性はそれ以上を要求する。みんなが中学生の時に図形を使ってしたであろう「証明」をしない限りは、それを真だと見なさないのが、数学なのだ。

    <作中より引用2>
    「何を賭ければ、それに見合いますかねえ?」
    「うーん…」
    「体ぐらい賭けないと駄目ですかね?」可笑しそうに光は言った。
    「体ねえ…」幸田も笑みを見せて言った。
     御影が興味深そうに口を挟んだ。
    「いたね、この前。奥さんの体を賭けるっていう人が」
    「え?そうなんですか?」光は驚いた顔をした。
    「うん、うん」御影はうなずいた。
    「それで、どうなったんですか?」
    「それはまあ…、個人情報だから」
    「個人情報ですか?」光は苦笑した。「え、教えてくださいよー」
    「どうする?幸田さん」御影は幸田を見た。
     幸田は首を振った。
    「内緒、内緒」
     その話は、『天才数学者の賭け 100万円と人妻の体』というタイトルで出版されている。気になる人は、読んでみるとよい。
     そこで月子が、少し引きつった笑みを浮べながら、光に言った。
    「え?ほんとに体を賭けるんですか?」
     彼女は可笑しそうに答えた。
    「どうしましょうかね?」
    「やめといた方がいいんじゃないですか?」
    「え?そうですか?」
     幸田がカクテルを一口飲み、グラスを置く音がした。
    「もし光ちゃんが体を賭けるなら、俺もケータイの乗り換え、賭けるよ」
    「幸田さん」月子がたしなめるように言った。「光さんは、普通の人ですよ。あんまり悪いことに巻き込んじゃ駄目ですよ」
    「何言ってんの。リターンを求めてどこまでリスクを負うか―それを自己責任で判断するのが、大人ってもんだよ」
     御影が可笑しそうに言った。
    「ただスケベ心出してるだけなのに、偉そうなこと言うね」
    「はは」幸田は笑った。
    「じゃあ、こうしましょう」
     光が、パチンと手を叩いて、言った。
    「何?」幸田が尋ねた。
    「私が勝ったら、ここで、好きなだけ飲み食いさせてください」
    「うん。で、負けたら?」
     彼女は、右端の席に座るカップルを控えめに指差しながら、小声で言った。
    「幸田さんにお酌させていただきながら、ここでまたご一緒します。あれぐらい、イチャイチャオーケーです」
     御影も月子も耳を寄せて、その話を聞き取った。そして全員で、そのカップルを見た。
     2人は指をからませながら話をしていた。そして、キスをした。幸い、舌は絡めていなかった。
    「あれも、いいの?」幸田が可笑しそうに、いや、にやけながら、言った。
    「オーケーです」
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