「たこ八郎」の名は広く知られている。
しかし彼、すなわち本名・斎藤清作(せいさく)がどのような前半生を送り、のちにコメディアンとしてテレビに登場するようになったかを知るものは少ない。
清作は宮城県仙台市(旧苦竹[にがたけ]村)出身。
仙台育英学園高校卒業後、東京で就職し、喜劇俳優になることを夢見つつも悶々とした日々を送る。
そんなある日、「ボクシング練習生募集!」の張り紙を見て、高校時代の部活だったボクシングを再開しようと決意する。
入門した笹崎ジムでは原田政彦(のちの"ファイティング原田")と同門になり、互いに切磋琢磨する。
しかし、清作には他人に言えない、あるハンディキャップがあった――。
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「はっきりいおう」
会長が居ずまいを正して清作を見つめた。
「君には次の試合で棄権してもらいたい」
「は……」
清作は不意を突かれた。
「この世界では」
とトレーナーが会長の言葉を継いだ。「同門同士の対決は、原則としてやらないことくらい、わかっているね」
「…………」
「このまま放っておけば、お前と原田は準決勝で顔を合せることになる」
(・・・)
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作家・笹倉明(第101回直木賞)が"ノンフィクション小説”として描く、ボクサー・斎藤清作の挑戦と栄光、そして苦悩の日々。
感動が、止まらない。
※この作品は当初、『天の誰かが好いていた』と題し、一九八四年五月集英社から書き下ろしとして出版されたものに、同社文庫化の際、加筆をして改題、『昭和のチャンプ たこ八郎物語』(一九八九年六月)とし、その後、さらに加筆をして葦書房から同名の単行本として出版されました(一九九九年二月)。この度、電子書籍化に際し、時代の変遷を鑑みて、タイトルを『海へ帰ったボクサー たこ八郎物語』とし、序章に若干の加筆をほどこしています。
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■目次
序章
第一章 道
第二章 運
第三章 魂
第四章 傷
第五章 鐘
終章
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※更新情報
2013/07/07 Ver1-0
2013/07/10 Ver1-1(表紙の両脇に細線を追加)
奥付に「ver.1-1_20130710」とあるのが現時点での最新版となります。
※本電子書籍は、著作権者笹倉明との電子出版契約に基づき、ヤブ式怪社ヘンテコ・インターナショナルが刊行するコンテンツです。
※リフロー型電子書籍を製作するにあたり、若干数の用語・表記の統一、読みやすくするための文章の修正等(校正レベル)を行いました。ただし、原則として校閲はしておらず、歴史的事実や人名等については、原文をほぼ踏襲した内容となっています。予めご了承ください。
The Life and Struggle of the Boxer-Comedian Tako Hachiro (Japanese Edition)
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