unyoutoiugamenoruledaisanbugamenotojikata (Japanese Edition)

みなさん、初めまして。本書を手にとって頂いて光栄です。本シリーズは、電子書籍限定で描き下ろしています。といっても、世間に出回っている「根拠の乏しい運用ノウハウ本」とは内容やレベルが格段に違うと自負しています。世間では、書いてある通りに実行すれば、あたかも簡単に利益をあげられるかのような見出しの本や記事を数多く目にします。でも、運用や投資で利益をあげることは簡単なわけがありませんよね。それにもかかわらず、誰にでも手っ取り早く利益をあげることができるかのような記事が氾濫しています。胡散（うさん）臭い内容や目に余るようなものも多いので、逆に、個人の方は投資を敬遠してしまう人も多いのではないでしょうか？本書は、そういう本や記事が巷（ちまた）にありふれていることを見るに見兼ねて、書き下ろしたものです。

「運用におけるゲームのルール」のシリーズは、３部作になっています。そこでは、経験が少ない人にはとっつきにくい運用のルールを、ゲームに例えることで、その特徴を理解してもらおうとしたものです。もちろん、ルールの説明だけでなく、ルールを理解したうえで、どのように参加したら利益をあげる確率を高めることができるのかについても、詳しく書いています。

第１部では、宝くじや競馬、パチンコなど、身近な賭け事と運用を比較することで、運用をゲームとして捉えた場合の特徴を分かりやすくお示しします。運用がよくわからない、運用では結局損をするから嫌だと感じている人の多くは、実は、このルールをよく理解していない場合が多いのです。

競馬でも、大穴狙いもあれば、コツコツと確率の高いレースを狙う人まで、その方法は多様ですよね。同じく、運用においても、色々な投資手法を用いることができます。でも、ゲームのルールを知っていなければ、上手に戦うことはできません。ルールを知っているから、その中での戦い方が見えてくるのです。

第２部では、運用というゲームのルールを知ったうえで、ルールを活かして勝率をあげるにはどうすればよいのかについてお話します。世の中には、様々な投資手法などがネットや本で紹介されています。でも、その多くが、肝心なところはブラックボックスにされているものや、結局は有料会員でないと教えてもらえないものが目立ちます。また、すごく複雑でマニアックなものも多いです。これらは、結局のところ、自分にとっては使いづらいものがほとんどではないでしょうか。

たしかに、「お金のなる木」をタダで他人に分け与えるような善人はいるはずないのですから、期待し過ぎてはいけないのも事実です。でも、世間で見かける「儲かる方法」の多くは、特定の手法を提示しているものではありますが、適切な用い方や考え方を示しているものではありません。例えば、「この包丁はよく切れるから、使えば、良い調理ができますよ」と言われて、包丁（投資の手法）を渡されても、「どういう特徴があるから、どのような食材の調理に用いたら、良い料理ができるのか」ということを知らなければ、使いこなせないでしょう。このように、柔軟性がないから使いづらいのです。投資に万能な包丁などあるわけがありません。適切な環境で用いるからフィットするのです。一方で、勝率をあげる考え方の基本原理を知っていれば、その考えから逸脱しない中で、自分のスタイルにあった投資手法を上手に用いることができるようになります。

第３部では、最後に、運用というゲームの閉じ方についてお話します。実は、これは意外と難しいのです。パチンコでも、止めどきが肝心ですよね。どんなに儲かっていても、ゲームを閉じて初めて、利益が確定できます。ゲームは入り口と出口で完結するのです。競馬のように、馬がゴールに到達すれば自動的に終了するゲームと違い、運用は自らゲームを終わらせなければいけません。自らゲームを終わらせないといけない類（たぐい）のものでは、終わり方は大切なポイントなのです。その一方で、この終わり方に関して説明や分析をしてくれている本を私は見たことがありません。ゲームの終え方について、私なりの考えをお示ししています。

本シリーズは３部作になってしまいましたが、その中でお話したいことは、ゲームのルールを知れば、自ずと効率の良い参加の仕方は定まってくるということです。どのようなギャンブルでもそうですが、熟練したプロと同じことを目指して結果が得られるのは、ほんの一握りです。それだけの時間をかけることができない人、知識や情報も秀でていない普通な人にとって、どのように参加すれば投資で成功する確率を高めることができるのかについて、愚直に示したものです。それぞれ各部とも、原稿用紙４００字詰めで換算して約４０枚程度の文字数ですので、量的にも比較的容易に読み進めて頂けるのではないかと考えています。

私が、この書を記した大きな理由は、「運用や投資で少しでも資産を増やしたい、でも、どういうふうに考えたらよいのか分からない」、このような皆さんにお役に立ちたいと感じたからです。何事も「絶対」はありません。「確実に利益をあげることができる」、「絶対に儲かる」ことはありません。でも、「利益をあげる確率を高める」ことはできます。この本に出会った人は、ある意味幸運だと自負しています。ぜひ、本書でお伝えしたい真意を理解して頂き、効率よく充実した投資に活かして頂ければ幸いです。

＜第３部目次＞
１．運用というゲームは閉じ方が一番難しい
２．閉じるルールの必要性
３．マイナスの場合、ネガティブな制約がかかるケースがある
４．ゲームの閉じ方①：閉じる基準は一定の値幅と時間
５．ゲームの閉じ方②：値幅の最大化を期待できる投資手法とは
６．ゲームの閉じ方②：売りのタイミングを引き延ばす方法
７．ゲームの閉じ方③：買われすぎが生じた場合に売りを実行する
８．（参考）買われすぎの確認例、RSIと移動平均乖離率
９．ゲームの閉じ方の基本パターンの確認
１０．ゲームの閉じ方の基本パターンの特徴
１１．上手にゲームを閉じる秘訣：閉じることを考え複数単位の投資を行うこと
１２．ゲームの閉じ方のまとめ
１３．最後に