長崎県雲仙市小浜町の雲仙温泉は、雲仙天草国立公園内に位置する温泉です。その歴史は大変古く、最古の記録は713(和銅6)年に編纂が命じられた『肥前国風土記』だといいます。
雲仙天草国立公園は、昭和9年に指定された日本最初の国立公園のうちの1つですが、雲仙の温泉街は、国立公園指定以前から、既に明治44年には長崎県立公園に指定され、長崎県が独自に公園開発を行ってきました。なぜでしょうか? それは、雲仙温泉は、幕末に最初の西洋人が訪れて以来、明治期には西洋人の避暑地として賑わっていたからです。より積極的に外国人を誘致するために、長崎県は雲仙温泉を県立公園に指定し、様々な公園施設を整えました。そして、このことが、昭和9年の国立公園指定に繋がりました。その結果、雲仙温泉は第二次大戦前まで西洋人の避暑地として栄えました。この時代を雲仙温泉における「避暑地時代」といいます。
雲仙温泉は、幕末から西洋人が訪れていたという特殊な歴史を持っているのです。そのため、雲仙温泉には、明治期の写真や英文記録が比較的豊富に残されています。日本の温泉地、観光地、または国立公園で、明治中期の写真や旅行記が残されている所がどれだけあるでしょうか? 明治期の風景が写真と文章でたどれるというのは、雲仙温泉の大きな特徴です。
本書では、雲仙温泉における「避暑地時代」を前半は主に写真で、後半は文章で紹介するものです。本書は、4つの章から成ります。第一章では、『JAPAN 1899』という個人の写真アルバムに収められた写真を紹介します。第二章では、お土産写真や絵葉書といった商品として販売された写真を紹介します。第三章は解説です。第四章には、私がこれまでに収集した雲仙温泉の「避暑地時代」に関する文献をまとめました。
<目次>
〇はじめに
〇第一章 『JAPAN 1899』に見る雲仙温泉
〇第二章 お土産写真と絵葉書
・長崎郊外~茂木
・茂木
・小浜
・小地獄
・新湯
・古湯
・地獄
〇第三章 解説
・1.雲仙温泉が西洋人に知られるきっかけとなった新聞記事(明治22年)
・2.明治期の雲仙温泉のお土産写真について
・3.『JAPAN 1898』について
・4.「温泉」と「雲仙」の表記について
〇第四章 文献
〇あとがき
Unzen hot spring in Meiji era: Old photographs of Unzen hot spring in Meiji era (Japanese Edition)
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