目次
はじめに
第1章 没入VR初体験の感動
第2章 OculusRiftDK2の悪夢
第3章 GearVRの独自性
第4章 HTCViveの驚き
第5章 OculusRift製品版の躓き
第6章 Play Station VR の試遊体験
第7章 FM三角山放送局にVRゲスト
第8章 さっぽろ自由学校「遊」でVR講座
第9章 TwitterでVRアンケート
「湿った炎 CHAPTER10.葬」
あとがき
はじめに
未来は、過去の延長ではありません。私たちは、人類の大きな転機の時代に生きています。
テクノロジーが社会を激変させる時代に突入しました。これまでも、科学技術は社会を大きく変えてきましたが、その多様性と変化の速さは、前例がないと言えます。
人工知能をはじめ、ロボット、3Dプリンター、ドローン、バイオテクノロジーなどが、幅広い分野に浸透していきます。想像を絶するような変革が、すべての常識を変えていくことでしょう。
その未曾有の変化を、深く実感させるのが、VR(バーチャル・リアリティ)です。多様なテクノロジーが、信じられないような変化を生み出しますが、私にとって、VRは別格のテクノロジーです。
時間の体感が年齢とともに速くなるということは、実感してきましたが、VRに出会ってからの3年間は、また10代のころの体感に戻ったように感じます。これからの様々なテクノロジーの進化による日常の変化は、時間の体感を大きく変えます。
時間の体感が10代の時のようになったのは、日々新鮮なVR体験をしたからだけではありません。VRを通じた新しい人との出会い、交流がありました。そして「現実」をとらえ直すことによって、人間の認識や存在について、考え直す、学び直すようになったからです。
私は、さっぽろ自由学校「遊」などでVR講座を開き、地域FM三角山放送局の私の番組「シネマキックス」にVR関係のゲストを迎えました。
VR体験は、私のすべてを大きく揺さぶりました。私の認識、存在の根底に深く刺さる体験でした。多くのテクノロジーの大きな可能性を認めつつ、私にとってVRは最も衝撃的なテクノロジーです。VR FIRSTです。
ある絵が、少女に見えたり老人に見えたりする錯視という現象は、網膜に映る像が「我々が見ているもの」ではない証しです。目に見える世界は脳が作っています。私は、このことから「現実」は、人によって違って見えることを学びました。錯視の不思議な世界に魅せられました。
私は、さまざまな映像作品にも夢中になりました。考えてみると動画の技術も、静止画を連続再生することで、人間の視覚の仕組みを利用して「動いている」ように感じさせる「錯視」と言えます。そして、VRの両眼立体視の技術は、平面の映像を立体に感じさせる「錯視の技術」です。脳がだまされているのです。
2009年、私は人と人が共感でつながるソーシャルメディアにも夢中になりました。VRは、コミュニケーション技術として誕生しました。VRは、次世代のソーシャルメディアになると言われています。
これまで私が夢中になった錯視、映像、ソーシャルメディアが、VRで重なりました。VR体験の衝撃だけでなく、私の人生にとってVRは特別な存在、VR FIRSTなのです。
アップルコンピュータ創立者スティーブ・ジョブズ氏は、2005年6月、米スタンフォード大学の卒業式で、有名な祝賀スピーチを行いました。ジョブズ氏は、リード大学でカリグラフィ教育を受けたことがコンピューターに美しいフォント機能を持たせることにつながったと話しました。
「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなのだ。だからこそバラバラの点であっても、将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない」
VRに出会い、私はジョブズ氏の言葉の意味を深く理解しました。
第1章 没入VR初体験の感動
Oculus Rift DK1による没入VR初体験
カタカタ、カタカタ、私が乗った木のコースターは、ゆっくりとレールを登っていきます。周りには古城がそびえ、コースターの高さが実感できます。コースターの動きが遅くなり、やがて止まります。次の瞬間、コースターは下り始めます。一気に速くなり、急カーブを曲がりました。激しい加速度と重力を感じました。
衝撃でした。私は、椅子に座って動画を観ているだけです。見ている映像は視線に合わせて広がり、周りを見渡せます。コースターに乗った世界にいるように感じました。その世界にいる感覚に驚き、新鮮に感じましたが、激しい加速度と重力の体験は、日常の「現実感」が、宙に浮くような、さらに深い驚きでした。
2014年5月24日、札幌で開かれたUnity 県人会の休憩時間に、私は初めてOculus Rift DK1によるVRを体験しました。ジェットコースターVRのほか、初音ミクと見つめあいながら握手する先進的なVR「Miku Miku Akushu」の不思議な実在感を経験しました。その日から、私の「現実」は変わりました。VRに深く魅せられ、その後の私の人生を変えていきます。
はじめに
第1章 没入VR初体験の感動
第2章 OculusRiftDK2の悪夢
第3章 GearVRの独自性
第4章 HTCViveの驚き
第5章 OculusRift製品版の躓き
第6章 Play Station VR の試遊体験
第7章 FM三角山放送局にVRゲスト
第8章 さっぽろ自由学校「遊」でVR講座
第9章 TwitterでVRアンケート
「湿った炎 CHAPTER10.葬」
あとがき
はじめに
未来は、過去の延長ではありません。私たちは、人類の大きな転機の時代に生きています。
テクノロジーが社会を激変させる時代に突入しました。これまでも、科学技術は社会を大きく変えてきましたが、その多様性と変化の速さは、前例がないと言えます。
人工知能をはじめ、ロボット、3Dプリンター、ドローン、バイオテクノロジーなどが、幅広い分野に浸透していきます。想像を絶するような変革が、すべての常識を変えていくことでしょう。
その未曾有の変化を、深く実感させるのが、VR(バーチャル・リアリティ)です。多様なテクノロジーが、信じられないような変化を生み出しますが、私にとって、VRは別格のテクノロジーです。
時間の体感が年齢とともに速くなるということは、実感してきましたが、VRに出会ってからの3年間は、また10代のころの体感に戻ったように感じます。これからの様々なテクノロジーの進化による日常の変化は、時間の体感を大きく変えます。
時間の体感が10代の時のようになったのは、日々新鮮なVR体験をしたからだけではありません。VRを通じた新しい人との出会い、交流がありました。そして「現実」をとらえ直すことによって、人間の認識や存在について、考え直す、学び直すようになったからです。
私は、さっぽろ自由学校「遊」などでVR講座を開き、地域FM三角山放送局の私の番組「シネマキックス」にVR関係のゲストを迎えました。
VR体験は、私のすべてを大きく揺さぶりました。私の認識、存在の根底に深く刺さる体験でした。多くのテクノロジーの大きな可能性を認めつつ、私にとってVRは最も衝撃的なテクノロジーです。VR FIRSTです。
ある絵が、少女に見えたり老人に見えたりする錯視という現象は、網膜に映る像が「我々が見ているもの」ではない証しです。目に見える世界は脳が作っています。私は、このことから「現実」は、人によって違って見えることを学びました。錯視の不思議な世界に魅せられました。
私は、さまざまな映像作品にも夢中になりました。考えてみると動画の技術も、静止画を連続再生することで、人間の視覚の仕組みを利用して「動いている」ように感じさせる「錯視」と言えます。そして、VRの両眼立体視の技術は、平面の映像を立体に感じさせる「錯視の技術」です。脳がだまされているのです。
2009年、私は人と人が共感でつながるソーシャルメディアにも夢中になりました。VRは、コミュニケーション技術として誕生しました。VRは、次世代のソーシャルメディアになると言われています。
これまで私が夢中になった錯視、映像、ソーシャルメディアが、VRで重なりました。VR体験の衝撃だけでなく、私の人生にとってVRは特別な存在、VR FIRSTなのです。
アップルコンピュータ創立者スティーブ・ジョブズ氏は、2005年6月、米スタンフォード大学の卒業式で、有名な祝賀スピーチを行いました。ジョブズ氏は、リード大学でカリグラフィ教育を受けたことがコンピューターに美しいフォント機能を持たせることにつながったと話しました。
「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなのだ。だからこそバラバラの点であっても、将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない」
VRに出会い、私はジョブズ氏の言葉の意味を深く理解しました。
第1章 没入VR初体験の感動
Oculus Rift DK1による没入VR初体験
カタカタ、カタカタ、私が乗った木のコースターは、ゆっくりとレールを登っていきます。周りには古城がそびえ、コースターの高さが実感できます。コースターの動きが遅くなり、やがて止まります。次の瞬間、コースターは下り始めます。一気に速くなり、急カーブを曲がりました。激しい加速度と重力を感じました。
衝撃でした。私は、椅子に座って動画を観ているだけです。見ている映像は視線に合わせて広がり、周りを見渡せます。コースターに乗った世界にいるように感じました。その世界にいる感覚に驚き、新鮮に感じましたが、激しい加速度と重力の体験は、日常の「現実感」が、宙に浮くような、さらに深い驚きでした。
2014年5月24日、札幌で開かれたUnity 県人会の休憩時間に、私は初めてOculus Rift DK1によるVRを体験しました。ジェットコースターVRのほか、初音ミクと見つめあいながら握手する先進的なVR「Miku Miku Akushu」の不思議な実在感を経験しました。その日から、私の「現実」は変わりました。VRに深く魅せられ、その後の私の人生を変えていきます。