ラブラドール・レトリバーのグレイは、知性と教養を愛している。
ひとりといっぴきの、何気なくでもかけがえのない日々のいとなみを綴る、短編小説。
” 「いちいちドアを開けるのは、人間の仕事だよ」
と、歌うようにグレイは言った。「人間の仕事」は、ほかにもある。たとえば、「二週間に一度シャンプーをすること」、たとえば、「月一回爪を切ってあげること」、「天気のいい日には、となり町の公園までつきあうこと」、「耳の後ろをかいてやること」。
「人間の仕事ばっかり。犬の仕事はないの?」
「毎晩ブラッシングをすること」をしながらたずねると、
「犬は仕事をしなくていいのさ」
と、グレイは目を細めて答えた。
「どうして」
「人間より賢いから」
「なるほど」
「学校にもいかなくていいんだ」
「それもやっぱり、人間より賢いから?」
そのとおり、あくびをしながら、グレイが答えた。それから私は、「寝る前にぎゅっと抱きしめること」をして、ベッドに入った。人間の仕事は、どれも嫌いじゃない。”
Walking with him (Japanese Edition)
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