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    WATASINOIKIKATA (Japanese Edition)

    Por hideko okizu

    Sobre

    【はじめに】より抜粋

     今、自分の身の回りを見渡してみると、なんて物が多い豊かな時代だろうと思います。
    家電も食べ物も、衣類も雑貨も、物が足りなくて困る!ということはありませんよね。
    スーパーマーケットに買い物に行けば、魅力的な商品がたくさん並んでいて、どれを買おうか迷ってしまいます。

    お魚もお肉もお米もパンも、食べきれないほど溢れているので、
    あれもこれもと物を買い、使いきれずに捨ててしまう方も多いようですね。
    まだ使えるのに、処分してしまう家具や家電もあります。
    勿体無い……私はそんな風に思って眺めてしまうのです。

     私が生まれた時代は、そうではありませんでした。
    物が無いことのほうが当たり前だったのです。
    配給で食べ物や日用品を手に入れた時、どんなに嬉しかったか……。
    お芋のツルも、お米の屑も、何でも無駄にしないで食べたのです。

    お店に行っても日用品が買えるわけではないので、すべて自分の地域でとれる材料を使って手作りしていました。飼っているウサギや鶏を潰して、そのお肉をいただいたこともあります。
    当時、お肉は滅多に食べられない贅沢品だったのですよ。
    お菓子だって、兄弟みんなで分け合って一口ずつ大切に食べた思い出があります。

     そんな生活を余儀なくされた原因は、他でもない戦争でした。
    戦争で真っ先に犠牲になるのは子どもです。お腹を空かせ、大人と同じように働き、
    勉強をしたり遊んだりする機会が奪われてしまうのです。
    栄えていた町を空襲が焼き、多くの人が亡くなりました。
    戦争が生み出すのは、人々の不幸しかありません。

     テレビをつけると世界中の貧しい国の様子が報道されていますが、
    食べ物がなくて飢えた子どもたちを見ると、自分が幼い頃のことを思い出します。
    日本にもあんな時代があったことを、今では知らない人のほうが多いでしょう。
    でも、決して貧困や戦争は他人事ではないのです。日本でもいつまた戦争が起こるか分かりません。
    そのことを思うと、とても恐ろしい思いでいっぱいになります。

     私が生まれた場所は、冬になると雪がうんと積もる地域でした。
    雪合戦をして遊んでいる暇はありません。朝は早起きをして雪かき。
    夜は兄弟みんなでコタツに足を突っ込んで寒さを凌いだあの頃。
    大人と一緒に農作業をして、毎日忙しく生きていました。
    ランドセルも買ってもらえないから、学校に持って行く鞄は風呂敷です。履いて行く靴は手作りの藁草履。

     なんであんなに大変な生き方ができたのかしら?今となっては不思議でなりません。
    きっとあの頃は、生きる為に精一杯やっていたのでしょう。
     八十歳を過ぎた今、当時のことを振り返ってお話しましょう。
    私のお話が、誰かの役に立つことを願って。


    はじめに

    ・第1章 ものがない時代に生まれて
    あるものを何でも、大切に食べる
    大人のように働いた学生時代

    ・第2章 結婚と仕事
    山形を離れて住み込み仕事
    主人との出会い
    三人家族
    水は逆さまには流れない

    ・第3章 今を生きる
    老いを感じながら
    私の仕事の流儀
    消費社会をどう捉えるか
    便利さに使われないこと

    おわりに
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