< 本書の内容 >
はじめに
まだ、マイナンバー対応に着手していないのなら、今!すぐ!!始めなければなりません!!!。
失礼しました。結論を急ぎすぎました。順に説明しましょう。
マイナンバーとは、2015年(平成27年)10月から、日本に住民票を有するすべての人に順次通知される12桁の番号のことです。
マイナンバーが導入されるにあたって、すべての会社に対して求められることは、大きく分けて3つあります。
第一に、社会保障や税の定められた書類に、マイナンバーを記載することです。
第二に、マイナンバーの取扱(取得、利用・提供、保管・廃棄)について定められた、法律の規定を守ることです。
第三に、取り扱うマイナンバーを含む個人情報(特定個人情報といいます)について、漏えい、滅失又は毀損を防止するための措置(安全管理措置)を行うことです。
ここで、もっとも注意しなければならないのは、従来からある個人情報保護法では適用除外となっていた小規模な事業者であっても、例外なく安全管理措置が義務づけられているという点です。マイナンバー法に違反した行為が認められた場合は、厳しい罰則が科せられることもあります。
企業にとっては、マイナンバー導入のメリットが見えにくく、「政府にやっかいなことを押し付けられている」と感じて気が重くなるかもしれません。しかし、避けることはできないのです。
避けることができないのならば、できるだけ効率よく対応したいものです。では、効率よく対応するには、どのようにすればいいのでしょうか?
まず、「いつやるか」という問題があります。会社には、業務の繁閑(忙しいときと暇な時)があります。たとえば、マイナンバー対応を先延ばしにしていて、年末業務や決算業務など、通常業務が忙しい時期に対応しなければならなくなったら最悪です。「2月」と「8月」が暇な会社だったら、「2月」と「8月」を中心にマイナンバーに対応するための業務スケジュールを組むべきなのです。
また、「どんな対応をするか」という問題があります。雇用保険の届出書等は、平成28年1月1日以降提出分からマイナンバーの記載が必要です。たとえば、年末に退職する人の離職票を年始に出すとか、3月の退職者や4月の新規採用者の雇用保険手続きについては、さっそくマイナンバーを記入しなければなりません。もし、対象となる人が数名だったら、それほど準備をしなくても、なんとか対応できるかもしれません。しかし、「給与所得の源泉徴収票」のように、平成28年の年末には全従業員分を「一斉に」作成しなければならない場合は、いつまでにどのような準備をしなければならないか、計画的に対応する必要があります。
そして、「どの順番でやるか」という問題も重要です。マイナンバー対応をすすめていったら不具合が見つかったので、はじめにもどって対応方法の検討をやりなおす・・・といったリワークが頻繁に発生するなら、とても効率が良いとはいえません。
以上のことから、「今!すぐ!!マイナンバー対応に着手して、“やること”を整理し、対応に必要な手間(時間)を考慮して“やる順”に並び替え、会社の業務に余裕がある「やるべきタイミング」で実行する」という対応が必要なのです。
では、さっそく「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(http://www.ppc.go.jp/files/pdf/261211guideline2.pdf)に基づいて、マイナンバー対応の取り組みをはじめましょう・・・と続けたいところですが、ひとつ問題があります。
「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」は、マイナンバー対応の基本となる資料ですが、「やるべきこと」を「やる順」に整理した資料ではありません。マイナンバーの導入時期が近づくにつれて、「どこから手をつけて、どのようにすすめていったらいいのか」といった悩みを、いろいろな場所で聞くようになりました。
そこで、マイナンバー対応業務の取り組みにあたって、一般的な(金融機関等でない)中小企業を想定して、「やること」を「やる順」に整理し、会社の業務内容や特性にあわせてカスタマイズできるような資料があれば、今できることから、ムダなく効率よく、しかも特急で対応を進めるための参考になるのではないか・・・と思いつきました。
本書は、その第一弾です。
実は、マイナンバー対応を行う場合、いきなりはじめるよりも、事前にちょっとした「準備」と「体制整備」を行うほうが、円滑にすすめることができるのです。本書では、個々のマイナンバー対応に着手するより前に、まずやるべきこととして「準備・体制整備」についてまとめました。
ところで、マイナンバーの利用は「法律で定められた行政手続き」に限られています。それらの行政手続きの書類作成等に使うITシステム(経理システム・給与計算システム)の開発メーカーや担当ベンダーに、マイナンバー対応を丸投げする動きもあるようです。一つの選択肢だとは思いますが、問題点も考えられます。ITシステムだけの対応では、安全管理措置としては不十分なのです。
平成27年5月に発覚した「125万件の年金番号を含む個人情報流出」について、「運用」についての問題が指摘されていることは記憶に新しいことでしょう。ITシステムだけの対応ですませるのではなく、社内で「業務フロー」や「取扱規程」を十分に検討し、実務担当者に周知・徹底する必要性があります。
本書は、そういった「業務フロー」や「取扱規程」の検討や見直しをするための準備としても、役立つのではないかと思います。マイナンバー対応を、具体的にどのようにすすめていったらいいのか、少しでも参考になれば幸いです。
<本書の概要>
会社の規模や業務内容によって、「やること」は大きく異なります。
たとえば、社長1人社員2人で業務を行っている拠点1か所といった規模の会社では、「体制整備」に、それほど時間をかける必要はありません。実際にマイナンバーを取り扱う人が、マイナンバー対応のための「準備」をドンドンすすめていけばいいのです。
しかし、規模が大きく拠点が多い会社ほど、「体制整備」にしっかり取り組む必要があります。
本書に書いた準備と体制整備に関する「やること」の概要は、次のようになります。
【全体把握(第1章)】
まず、マイナンバー対応実務の全体を把握する必要があります。インターネット上で公開されている資料を上手に利用しましょう。
その後、利用スケジュール(いつ、どのような手続きでマイナンバーが必要かということを整理したスケジュール)を確認します。この利用スケジュールは、対応期限ということになります。
対応期限が確認できれば、次は「やる順」ロードマップを紹介しますので、自社のケースに合うようにカスタマイズしましょう。
【事前準備(第2章)】
ここでいう、事前準備とは、「基本方針の策定」と「推進チームの編成」です。「基本方針の策定」は、すべての会社に必要です。「推進チームの編成」は、会社によっては必要ないかも知れません。会社の規模や業務の内容により検討してみてください。
この部分では、マイナンバー対応を効率よく進めるために欠かせない、「全体業務の見直し」を行うための準備をします(全体業務の見直し自体の説明は、第3章で行います)。
トップや経営幹部、総務・人事・経理などのマイナンバー取扱い主管部署が中心になってすすめましょう。
【全体業務見直し・分担計画・部署別スケジュール(第3章)】
「事前準備」がすんだら、会社内のマイナンバー取扱業務を洗い出し、見直しをおこないます。見直しとは、具体的には「マイナンバー取扱部署・取扱事務担当者を極力絞り込む」ことです。これが、マイナンバー対応作業を円滑にすすめるためのコツです。
その後、どの部署がどのようなマイナンバー対応作業を進めていくのか、具体的に振り分けます。振り分けた作業は、部署間で調整や情報交換を行い、部署別スケジュールを作って進捗管理を行いながら実行していくことになります。
【社内教育(第4章)】
準備・体制整備編の最後は「社内教育」です。
「社内教育」は従業員全員に行わなくてはなりませんが、教育の内容については、従業員がどのような業務に従事しているかで異なります。
社内教育には2種類あります。
1. すべての従業員に対する基本的な社内教育
2. 部署ごとに必要なマイナンバー取扱についての社内教育
2については、社内教育の内容を作るところからはじめなければならないので、時間がかかります。しかし、第3章で「マイナンバー事務取扱担当者」を絞りこめれば、必要な対象者に必要な分だけの社内教育を行うことができるので簡素化できるでしょう。
以上が本書の「やること」の概要です。さっそく第1章から、「やる順」にみていきましょう。
yarujyun mynanba taio gaido jyunbi taiseiseibihen: jikan to roryoku wo mudanishinaitameni mainanba taiougaido (jinnji romu turn out magazine) (Japanese Edition)
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