【ファンタジー中編】
剣も呪文もない土着系ファンタジー「手業の民の物語」シリーズ。
よいものと悪いものを見定めることができるリーリは、祈祷師センの元にやってきた。
お茶をいれ焼き菓子を作り、リーリは祈祷所にやってくる村の娘たちの悩みをほぐす。
村の娘のための儀式に参加したリーリは、そこで自らの過去と向き合い、センの弟子として祈祷師への道を歩み出す。
文庫 約45ページ(1ページ 39字詰め 18行)
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「ところで、神さまの川がどうのって、ほんとうなんですか?」
「さあねぇ」
祭壇の後ろに掃除道具が隠してあり、セン師が取り出したほうきを受け取る。
「お祈り、効き目あったんですか?」
「そりゃあ、あったよ。一番口うるさそうな娘さんが、ほっとした顔をしてたからねぇ」
セン師は満足げだ。
「これで悪夢がどうの、って話はなくなるはずだよ。だけど気の弱そうな子が、まだ不安そうにしてた。あの子はまた来るよ。そしたらおいしいお茶でも出してやったらいい」
客の滞在時間は短かったのに、掃除をすると案外糸くずだのが落ちている。
「あの子らの悪夢がどうのって、嘘だったんですか?」
「いいや、ひとりがそんな気がする、って話をしたんだろ。仲がいいだろうからね……ずっと仲良しでなきゃならないだろうから、ひとりがそういったら、みんなそうなる。そんなもんさ」
Yodonca-Kawa-de-Matteiru Tewaza-no-Tami-no-Monogatari (Japanese Edition)
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