yoikakawohosinahyakushuke kindaino-eirikyouka-tinsho (Japanese Edition)

　五無斎は長野県の人、教育者から鉱物学者に転身、本名は保科百助。奇人といわれ鉱物狂といわれた名物男でしたが、三十九歳にして自分の独身のむなしさに気付き「嚊を欲しいな」と歌い上げた百首の狂歌です。滑稽にして切実な男の願いをお聞きください。
　この百首は、近年、全集その他で紹介されていますが、挿絵がありません。この歌集の面白さに挿絵が大きく貢献しています。本書は挿絵をそのまま復刻しました。三人の画家は、それぞれに百助の思いを滑稽に描いています。歌といっしょにお楽しみください。
　「好い嚊欲しな」という言葉は、人口が減りつつある現代日本において、独身者に最も必要な言葉だと思います。若者は、この歌集のような素朴な気持ちに戻って結婚願望を高め、若い娘さんは、この歌集の独身男のこの身勝手な気持ちの中に、共に生きる願いが籠もっていることを知ってほしいものです。