yume yumenosinrigaku: yumenotikaratoyuki (Japanese Edition)

ーまえがきよりー


「人間は、ほとんど誰でも夢を見る。しかし、自分の見る夢を理解する人はごく僅かである」―
本書は、精神科医師・心理学者であったアルフレッド・アドラーが説いた「夢」についての考察を本人の著書から紹介する。

アドラーは夢の解釈については多くの点でフロイトと異なっていたが、ある一点についてはアドラーはフロイトと意見が一致していた。それは、夢はそれを見ている人について何か大切なことを告げており、心理学の説明の一部として夢を無視するような心理学はどれも不完全なものであるということだった。

アドラーは、夢を心の創造的な活動の一部としてとらえていた。もし、ある人が夢で期待していることを発見できれば、そこからあと一歩進むと夢の目的を見つけられる、と考える。夢の機能は、毎日の生活で直面している困難な問題に出会うことであり、うまくいけば、解決法を供給してくれる―。

夢の目的は、常識の要求に対抗してライフ・スタイルを保つことにある。夢はライフ・スタイルを表現できる方法のひとつであり、現在の状態と未来の目標の間の架け橋として作用する。夢では、意識と無意識が一つになる。この考えは、夢が無意識の表現であると信じたフロイトの区別と対照的だが、アドラーは、夢の前向きの性質を強調した。

「個人心理学的治療の技術が、常に人生の諸問題との取り組みにおける個人の勇気を増大させることに向けられているために、治療が進むにつれて夢が変化し、より自信のある態度が顕わになる」―とアドラーは語る。

アドラーは、夢が未来の目標の手がかりを提供するものだと考えた。
夢は、その人について知られていることの光の下で、いつもそれぞれ別々に解釈されなくてはならない。アドラーはある特定の夢の要素が、かなり頻繁に起っていることに気づいた。そして夢の本当の意味を理解するには、夢を見ている人のパーソナリティーを十分に理解することを説く。自分を洞察している度合いに応じて、自分の夢の本当の意味を理解することができるとした。

夢の意味とは何か？それは今のあなたに何を示しているのか？
読者は本書によって、夢の本当の意味、そして心の真理を知る鍵を理解する―。