《「うとう」
彼は「善知鳥」という漢字を知らないひとの発音でそう言うと、ちらり、ちらりとわたしの全身を伺った。その挙動は、年相応の殻に覆われていて、わたしをすこしまごつかせた。さらにわたしをまごつかせたのは、萱嶋の顔が、だしぬけにわたしの顔に触れる寸前にまでせまってきたからだ。鼻の頭のあたりで萱嶋の声が響く。
「おまえ、チョークを齧るのが趣味ってほんとう?」》
(本文より)
zetsuboumadesayonara (Japanese Edition)
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