A Strange Story by Ryunosuke Akutagawa
Reading Japanese Literature in Japanese.
(Sample)
ある 冬《ふゆ》の 夜《よ》、
私《わたし》は 旧友《きゅうゆう》の 村上《むらかみ》と いっしょに、
銀座《ぎんざ》通《どお》りを 歩《ある》いていた。
「この間《あいだ》 千枝子《ちえこ》から 手紙《てがみ》が来《き》たっけ。
君《きみ》にも よろしく と いうことだった」
村上《むらかみ》は ふと 思《おも》い出《だ》したように、
今《いま》は 佐世保《させほ》に 住《す》んでいる 妹《いもうと》の 消息《しょうそく》を 話題《わだい》にした。
佐世保《させほ》(九州《きゅうしゅう》の地名《ちめい》。海軍《かいぐん》の港《みなと》がある)
「千枝子《ちえこ》さんも 健在《たっしゃ》だろうね」
「ああ、この頃《ごろ》は ずっと 達者《たっしゃ》のようだ。
あいつも 東京《とうきょう》にいる 時分《じぶん》は、
随分《ずいぶん》 神経《しんけい》衰弱《すいじゃく》も ひどかったのだが、
―― あの 時分《じぶん》は 君《きみ》も 知《し》っているね」
神経《しんけい》衰弱《すいじゃく》( nervous breakdown )
「知《し》っている。
が、神経《しんけい》衰弱《すいじゃく》だったか どうか、――」
「知《し》らなかったかね。
あの時分《じぶん》の 千枝子《ちえこ》と来《き》た日《ひ》には、
まるで 気違《きちが》いも 同様《どうよう》さ。
泣《な》くか と 思《おも》うと
笑《わら》っている。
笑《わら》っているか と 思《おも》うと、
――妙《みょう》な話《はなし》を し出《だ》すのだ」
A Strange Story: Learning to Read Japanese – YUI (Japanese Edition)
Sobre
Baixar eBook Link atualizado em 2017Talvez você seja redirecionado para outro site