斎藤茂吉の第四歌集『遠遊』の電子書籍です。昭和22年刊の初版を底本としました。『作歌四十年』より「遠遊抄」を附録としています。
ウィーン大学神経学研究所に入った大正11年1月から、ミュンヘンに移る大正12年7月までの歌623首を収めています。39歳から41歳まで、ウィーン留学時代の歌日記といった体裁の歌集です。
この間、茂吉は研究に打ち込む傍ら、寸暇を惜しんで劇場や美術館に通い、またハンガリー・イタリアなどを旅しました。茂吉というユニークな「眼」を通した、第一次大戦後のヨーロッパ観察記としても興味深い作品でしょう。ストライキが頻発し、ユダヤ人排斥を掲げるナチスが台頭する、ドイツ・オーストリアの混乱した世情にも、茂吉の眼は注がれていました。
こほりつつ流るるにかあらし豊かなるドウナウのみづの音のさびしさ(ウィーン)
猶太(ユダヤ)排斥の実行運動町を支配して Hakenkreuz(ハーケンクロイツ) の旗たてきたる(同上)
黒貝のむきみの上にしたたれる檸檬の汁は古詩にか似たる(ナポリ)
当歌集につき、佐藤佐太郎は「まことに自在で、雑然とした現実から易々として特徴を把握している力量は驚異といってよいほどである」と評しています(斎藤茂吉選集第二巻解説)。
各歌集の単行本から新たに本文を作成し、二度の全集によって校訂した、斎藤茂吉全歌集シリーズ(全18巻を予定)の第4巻にあたります。
本文はリフロー型の電子テキストですので、語彙検索や文字サイズの拡大縮小、メモ機能・辞書機能などがご利用になれます。
※2017年2月、改訂しました(誤字を訂正)。
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Enyu Saito Mokichi zenkasyuu 4 (Japanese Edition)
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