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    Hougenmonogatari (Sekiyouteibunko) (Japanese Edition)

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    Sobre

     本書は、平家物語の前段のお話。平家物語では、平氏が政権を握るに至る重大な経緯・院政から平氏政権への転換の由来である保元・平治の乱のお話をを省略していますが、それはまさに「保元物語」「平治物語」の存在を前提にしてのことと考えられます。原著者は異るようですが、保元、平治、平家は三部作と言っても過言ではないでしょう。
     本書は、戦前まで広く読まれていた「流布本」・「古活字本」に基づいたものですが、さすがに原著の成立が「写本」の時代。戦後出版された色々な国文学者の方々の校訂による「諸本」とは、お話の大筋は変わらないのですが、各エピソードの配列や本文が隨分異るのには驚かされます。
     それもそのはず、戦後の出版されたものは、各校訂者の先生方が主に研究対称にしておられる「写本」(ヴァージョン)によるもの。おかげで近世から戦前まで、広く読み継がれてきた「流布本」の方が、かえって今では入手し難くなっているようにも思われます。
     平家物語全12巻に比べて、保元物語、平治物語とも、それぞれ3巻ずつという「小品」ではありますが、いずれもたった一日の合戰で天下の大勢が覆るという点では、非常に密度の濃い傑作です。
     この三部作に一貫して登場しているのが、齋藤別當實盛です。保元物語では三十一歳。彼の活躍等が光彩陸離として描かれているのは、不幸にも、彼にとって敗戦となった、平治物語と平家物語です。軍記物の「武者揃え」の所は、聞く分には心地よいかも知れませんが、読んでいて、些か退屈しそうになります。でも、注意深く読んでいると、「えっ ! ここにこの人が」ということもあるのです。
     保元物語の時代は、武士はまだ、貴族、皇族の「番犬」。天皇の「宣旨」と上皇の「院宣」のどちらが上で、どちらに従うべきかも分からぬまま、従前の義理や従属関係に引きずられて、命じられるがままに、一家一門がばらばらに引裂かれて敵対する陣営にはせ参じ、骨肉相食むの悲劇を演じることに。
     保元物語のヒーローは、何といっても、敗者の側(崇徳上皇側)に属しながら、超人的な大活躍を見せる、鎮西八郞源為朝でしょう。彼の矢は、矢というより、竹のミサイルか徹甲弾を想起させます(巻末では、伊豆の大島に流罪になった後、討手の平家の大船を一矢で轟沈させています)。上皇側では、為朝の夜討の策を、文官の「秀才」左大臣賴長が「以ての外の荒儀なり」と却下してしまいますが、後白河天皇側では、「才子」少納言入道信西により、源義朝の夜討の策が、武芸の道は武人に任せるべし、「誠に先んずる時は人を制す」として、採用され、合戦の明暗が分かれています。為朝生存説は後世江戸後期の曲亭馬琴の「珍説弓張月」に承けつがれ、その後日談が語られることになります。
     また、合戰の樣子をお読みいただくと、当時の武士が、基本的には「弓騎兵」であったことがお分かりいただけると存じます。当時の武士は「弓馬の道」と言われた程ですから。また、太刀は、甲冑を着けた戦闘では、斬るものではなく、鎧の隙を突くことが効果的であり、斬るのは「束も拳も通れ通れとばかりに、三刀刺して首を切る」というように、倒した敵の首を取るときに「切る」という使い方がされていたようです。ちなみに、白兵戦は「打ち物」と言ったようですね。
     それと同じに「番犬」としての、敗者となった武士の悲劇が克明に描かれているのも本書の大きな特徴でしょう。保元の乱が当時の人々に最も大きな衝撃を与えたのは、内戦それ自体もさることながら、その後の大量拷問と死刑の執行です。なにしろ、平安時代には、法制上は「死刑」はあっても、少なくとも都では、その執行はずっとなかったことになっていたのですから。死刑になったのは、「番犬」の立場でやむをえずその主人に忠実であった敗者側の武士とその一族(幼い子供たちも含む)。まさに族滅。同じ罪でも貴族以上は重くても「流刑」でしたね。その上、死刑の執行に際して、これは全く人倫に背くことですが、源氏の義朝には父為義を、平家の淸盛には叔父忠正を処刑させています。儒教の国でなくとも、全く考えられない言語道断の非道です。また、源為義の幼い子供達の処刑の樣子等には、感涙を禁じ得ません。「義朝幼少の弟悉く失はるる事」の章は、是非とも読んでいただきたいところです。
     保元物語で語られる武士の運命は、悲劇一色のようですが、これが、平治物語になってくると、少し変わってきます。非常事態に政権の命運を決するものは結局は「武力」ということで、武士達がその力に目覚め始めますし、保元物語が悲劇一色だったのに対して、平治物語では、全体的には悲劇の中にも、「笑い」のシーンが出てきます。それはまた改めてのお話に。
     そして、保元物語は、日本史上最大・最強の怨靈の誕生、「崇徳院」の物語でもあります。残念ながら流布本系には見えぬ文言ですが「皇を取て民となし、民を皇となさん」との言葉は広く伝えられ、「太平記」にも、怨靈の王として登場しています。それに、保元の乱のそもそもの遠因、知る人ぞ知る、崇徳院誕生の秘話は、保元物語では語られていません。なぜ「父」であるはずの鳥羽院が「崇徳系」を皇統から徹底的に排除しようとしたのか、そのお話はここでは敢えて申し上げません。ネット等でお調べ頂ければ、容易にお分かりになるはずですし。
     軍記物は「語り物」系の和漢混淆文ですから、古典の中では比較的読み易いものです。また、「声に出して読みたい日本語」の典型でもあります。
     それと、保元物語、平治物語は、いずれも「敗者の視点」(特に源氏)から描かれていることが特筆されす。合戰・戦闘自体もそれなりに悲惨なものではありますが、それでも覚悟の上での正々堂々の勝負、「名誉ある最期」もあるでしょうが、勝敗が決した後の、落ち武者の悲惨さ、敗者の側の一族係累の悲劇を詳らかに描いてくれています。この作品の読み所は、まさにこの部分ではないかと思われる程です。
     「平家物語」と比べてマイナーなイメージはお持ちでしょうが、その平家物語をよりよくご理解いただくためにも、ぜひとも多くの方々にお読み頂きたい傑作だと存じます。
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