報道の中立性・公平性はいつでも問われてよい根本的な問題である。この問題に対して相対主義を信奉して両論併記で応える立場がある。しかし、これは真実を探求し報道するというジャーナリズムの使命を放棄するものであろう。
ではなぜ、こうした両論併記主義とでもいうべき立場が生まれてくるのか。また、これを克服する途はどこにあるのか。
両論併記主義は相対主義から生まれてくる。そして相対主義は、どんなイデオロギーであっても自らを正当化しようとすれば、根拠の根拠を問われることになり結果として無限背進することになるから、最終のドグマを導入せざるをえなくなる、と考える。くわえて相対主義はそうしたドグマの並立的状況を承認する。まさにここに両論併記主義の哲学的背景があると言えるだろう。
こうした考えを打ち破っていくには、帰謬法の適用である内在的批判が有効である。これはみずからの側には何らのイデオロギー的前提を持ち込むことなく、帰結を問い、その矛盾を指摘することで、前提となっているイデオロギーを解体的に批判する。これは特定の立場に加担することなくなしうる理性の働きである。
ところが、両論併記主義は相反するものを承認してしまうという点で矛盾を容認している。ここに両論併記主義の最大の病がある。
また、両論併記主義はみずからがひとたび報道した(支持した)もの(記事)にかんして肯定的な証拠のみを集めるという実証主義に陥っている。自分にとって都合の良い情報ばかりを流すようになる。しかしながら、これは後件肯定の誤謬と言われるものを犯すことなのだ。
この欠陥を克服するには、取材源(たとえば、警察、また取材対象者)からの情報を単なる仮説として扱い、まずそれを徹底的な反証にさらし、反証されなかったものを報道するという反証主義の立場に立つ必要がある。それによってこそ、リーク情報に踊らされたり、取材対象者を犯人扱いするといった弊害を避ける途が開けてくるであろう。
こうした論旨をわかりやすくするために、多くの具体例に言及した。なかでも反証主義の重要性を解くために、松本サリン事件に言及し、叙述を読みやすくした。
本書は、批判的合理主義(反証主義)の立場から書かれた「報道の中立性・公平性」への基本的議論である
iwayuru houdou no chuuritusei kouheisei nitsuite: ryouronnheikishugi wo koeru michi (Japanese Edition)
Sobre
Baixar eBook Link atualizado em 2017Talvez você seja redirecionado para outro site