七夕ハルの理想の女性を表した珠玉の物語。全ては世界のようであり、全ては地獄のようである。何が本当か?わかっていないのかな?
~冒頭~
夏の暑い盛りだった。僕は海に来ていた。海は沖の方からいつものように波を繰り出している。海岸の砂浜では、周期的な塩水が白い泡を伴ってやってくる。僕は国道から白い大地に降り立つ準備をした。サンダル、水着、浮き輪。どうにも一昔前の観光客みたいだが、れっきとした地元の人間だ。有名な滝を思い出す。滝のように高くから降りてくるわけではない。ただ、海には水平方向の力は滝よりもある。そのことが僕は涙を流すほどに嬉しかった。飛ぶことよりも、歩くことにずっと憧れていた。信じられないかもしれないが、人類が大空に飛び立つ時代に、僕は未だに歩くことが好きだった。宇宙さえ僕にとっては大して意味のない空虚な言葉に過ぎなかった。数年前にスペースシャトルは廃止され、人類は火星を目指す旅へとある国の大統領の決定によって動き始めた。でも、僕は船や列車の方がずっと好ましい。人類の長い歴史から見れば、列車などはつい最近のことだろう。ただ、そこにあるのは色んな人間を載せてきた実績だ。遥かにたくさんの人々を運んできた列車という動物。みんなの目にはただの機械に見えても僕は知っている。彼らは生きていて確かな息づかいを人間たちに聞かせている。これが、僕の妄想だとしても、その考え方自体は後世への財産となるだろう。人間という定義がいずれ、もっと幅広い生物、もしくは生物以外に用いられる日がきたとしても僕は驚かない。そして、もう一つ触れなければいけないのは船。遥か昔から、海の向こうの異世界に人々は想像を逞しくして、夢見た。今では、全ての島や海の向こうはインターネットなどによって瞬時に繋がっているために、新鮮さはない。ただ、ここではないどこかには、きっと想像もつかない世界があるのだろうと太古の人々は考えたに違いない。
NATUNOUMITOBOKU (Japanese Edition)
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