斎藤茂吉の第十三歌集『のぼり路(ぢ)』の電子書籍です。昭和18年刊の初版を底本としました。『作歌四十年』より「のぼり路抄」を附録としています。
1939(昭和14)年10月から1940(昭和15)年暮まで、満57・58歳の歌734首を収録。鹿児島県に招かれて神代の遺跡を巡り、肇国の昔を偲んだ「高千穂峰」二百余首を始め、戦時体制・思想統制が急速に浸透する時代状況をつよく反映した歌集と言えましょう。皇紀二千六百年を記念する奉祝歌など、ジャーナリズムの求めに応じた作も多く、本歌集の一特色をなします。しかし「観照の深い、静かな世界」(佐藤佐太郎)、「微妙な苦(にが)みと陰翳を伴ふ秀作」(塚本邦雄)と評された日常偶詠も注目され、はやくも晩年の歌境を予告しているかのようです。
大きなるこのしづけさや高千穂の峰の統(す)べたるあまつゆふぐれ
モナ・リザの唇もしづかなる暗黒にあらむか戦(たたかひ)はきびしくなりて
わが父の十三回忌をはるころ淡々(あはあは)として著物(きもの)をかさぬ
各歌集の単行本から新たに本文を作成し、二度の全集によって校訂した、斎藤茂吉全歌集シリーズ(全18巻を予定)の第13巻にあたります。
本文はリフロー型の電子テキストですので、語彙検索や文字サイズの拡大縮小、メモ機能・辞書機能などがご利用になれます。
Noboriji Saito Mokichi zen kasyu 13 (Japanese Edition)
Sobre
Baixar eBook Link atualizado em 2017Talvez você seja redirecionado para outro site