samayoutamashinohatsukoi (Japanese Edition)

江戸時代末期に断罪された人斬り甚五郎は死後二百年近くこの世とあの世の間を彷徨い続けている。生前に悪行を働いた者は、成仏する前に百人の人間をあの世に案内しなければならない。甚五郎はようやく百人目の魂と巡り合った。沙織の魂をあの世に案内すれば長年の魂の浮遊生活も終わる。しかし、沙織の死にはプレミアがついたのですぐに成仏しない。プレミア魂には、成仏する前に三つの願い事をかなえられる特権がついている。
甚五郎は早くお役御免になりたいと願いながら、沙織と関わる時間にかつてない心地良さを感じ始めていた。生前は残虐、利己主義の塊だった甚五郎。
生前に善行をしてきた者、悪行をしてきた者は同じ世界には行けない。
沙織が三つ目の願い事を成就させた時、甚五郎と沙織の魂は永遠に別れる。
甚五郎と沙織は、知らぬ間に互いに惹かれ合っていた。別れの時は近付いている。
沙織は三つ目の願い事をかなえるために念じ始めた。