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    Tabi To Eigo To Gitaa To Shigoto Australia Hourouki San: Outback Ayrs Rock Darwin Bali Singapore (Laboratory Shuppan) (Japanese Edition)

    Por Miles Yebisu

    Sobre

     荒野に一人でいる時と、渋谷に一人で居る時と、人はどちらが孤独でしょうか?

     先日、渋谷の交差点に一人立ってみたのです。一月の晴れたある日でした。一度に数千人が渡ると言われているその世界的にも有名な交差点を行き交う人たちは、それぞれに誰かと一緒に歩いていたり、誰かに会いに行くところだったり、誰かと会った帰りだったり、会社や学校など自分が属しているところへ向かう途中だったり、自分が属しているところから帰るところだったりするのでしょう。晴れているとは言え寒い日だったので、白い息を吐き出しながら人は流れていきました。

     ある程度以上の人間が集まると、一人一人は違うはずなのに、一つの群衆というまるで一つの生命体かのような動きをしは始めます。渋谷の交差点はその分かりやすい例の一つです。信号が変われば、信号を待っていた人たちはまるで一つの脳から同じ指令を受け取ったかのように一斉に歩き始めます。誰もそこに立ちすくんでいる僕の方には視線や注意を向けたりはしません。あるいは僕にしたって、他に立ちすくんでいる人がいたところで、気付きはしないかも知れないのです。

     事件や緊急事態に遭遇した際に、周囲にいる人の数が多ければ多いほど、それは「他人事」、つまり「自分には関係のないこと」として認識されやすくなります。これを傍観者効果と言うらしいのですが、僕が渋谷の交差点で血を流して倒れていたら、わざわざ声をかけて助けてくれる人が何人いるでしょうか?ほとんどの人は足を止めたり振り返ったりすることなく、信号のペースに合わせて川の水のように駅の方へ、または駅の方から流されていくでしょう。街頭スピーカーからは流行りの音楽が流れ続け、大画面では今売れている芸人を起用した最新のコマーシャルが映し出され、血を流している僕に気が付いた所で、自分が助けなくても他の誰かがきっと助けるだろう、とほとんどの人は思うかも知れません。

     一方、荒野に一人で立ってみると、周りの全てが自分に関係あることのように感じられる瞬間がありました。人だけでなく、動物たちや太陽や月や星や木々たち、そして岩や水までもが自分がここにいることを認識し、そして肯定してくれるような気にさえなりました。

     オーストラリア放浪記の最終巻である三冊目には、コンビニがなくてはとても生きていけないような超都会型の東京生活を送っていた僕がポンコツ中古車を手に入れ、初めての車生活に戸惑いながらも、オーストラリアの荒野に一人で立ちつくし、荒野の動物たちに見守られながら小さな自分に小さな一を足し、ほんの少しずつ成長していった旅と、英語と、ギターと、仕事の記録が収められています。

     オーストラリアでワーホリに出かけたことがある人も、これから出かけようかという人も、新婚旅行で行きたいと思っている方も、出張で行かなくてはならない方も、オーストラリアには微塵も興味なんてない方も、旅のお供として、食後の休憩として、トイレの目のやり場として、はたまた旅のガイドブックとして読んで頂けると嬉しい限りです。役に立つことはほとんど書いてありませんが、旅の道中僕が必死になって書き留めた八万文字のこの漢字仮名交じり文たちが紡ぎ出す世界の何か一つでも読んでくれる方の心に留まるのならば、そしてそのうちの何人かだけでも、他の「旅と英語とギターと仕事」のシリーズ作品を読んでくれるのならば、こんなに嬉しいことはありません。

     ワーホリの人たちがファーム生活を送っているエアーという町からこの本は始まり、アウトバックを抜け、エアーズロックではあわや大事件の車のガソリン漏れを経験し、カカドゥー国立公園では2000年前の壁画を見てほくそ笑み、エリマキトカゲとの偶然の遭遇を経て、ダーウィンへと北上し、インドネシア、シンガポールを経由して福岡へと戻り、税関では別室で大麻検査液付きの特別待遇を受け、長崎、下関、広島、岡山、大阪、神戸と経由して旅は幕を閉じます。

     それでは南半球の荒野での生活の幕開けです。紫外線が強めなので、日焼け止めを塗ってからお読みくださいませ。読み放題でお読みの方は、読まなくてもいいので、ぜひ最後までページスクロールしてやってください。(笑)

    (はじめにより抜粋)

    目次

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    第一章 エアーのファーム生活
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    『餃子を目指して450キロ』
    『ビーチで見た白い光』

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    第二章 アウトバック
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    『エロマンガは国境を越える!?/Kooroorinya Reserve』
    『何もない一日/Kooroorinya Reserve』
    『暗い空の下に響くワラビーの足音/マウント・アイザへ』
    『一人でどこへ行こうと勝手なんだが/マウント・アイザ~テナント・クリーク』
    『Survive this drive!!/テナント・クリーク~アリス・スプリングス』
    『敬語不要論/アリス・スプリングス二日目』
    『原爆の日/アリス・スプリングス 三日目』

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    第三章 ウルル(エアーズロック)
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    『ウールールウルールルール(北の国からのメロディーで)/ウルル(エアーズロック)一日目』
    『青年は荒野をめざす/ウルル(エアーズロック)二日目』
    『だからガスが漏れているんです/ウルル(エアーズロック)三日目』
    『ハローエイリアン!/アリス・スプリングス-テナント・クリーク』
    『Udonと饂飩とうどんは別物なのであろう/テナント・クリーク~マタランカ』
    『必要な情報は必要な時に向こうからやってくる/マタランカ~キャサリン』
    『翻訳とは一番深いところでの読書である/キャサリン-エディス・フォールズ』
    『満月の夜に月と話す/エディス・フォールズ』
    『エリマキトカゲとはお前のことか!?/エディス・フォールズ』

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    第四章 カカドゥー国立公園
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    『高城剛みたいな話だね/カカドゥー国立公園一日目』
    『楽園で人は何を想う?/Gumlon Falls/カカドゥー国立公園二日目』
    『我が輩はゴールドカラーである/一人たき火/カカドゥー国立公園三日目』
    『人間はみんなかつては現代人であった/アボリジナルロックアート・イン・ウビル/カカドゥー四日目』

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    第五章 ダーウィン
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    『夜の静寂に、と会話で言うのは難しい』
    『アジア航空で片道199ドル』
    『かんたんベリーグー』
    『島田紳介引退のニュース』
    『"What you can't see is usually real in Japan.”』
    『スティーブ・ジョブズがCEOを辞めた日』
    『ベーコンとチーズとオレンジジュース』
    『開店休業』
    『リッチフィールド国立公園一日目』
    『リッチフィールド国立公園二日目』
    『片付ける時にモノに感情移入してはいけない/リッチフィールド国立公園三日目』
    『さよならさよならパスタ号』

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    第六章 インドネシア バリ島
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    『バリ島は思ってたよりもでかかった/クタ一日目』
    『ボデトーマシサーヅ/クタ二日目』
    『食べて、祈って、恋をして/ウブド一日目』
    『バリ島は昔の倉敷と同じにおい/ウブド二日目』
    『偶然の連鎖/ウブド三日目』
    『お金にならないこと = 人の役に立ってない、ということでもある/ウブド四日目』
    『いちまんえんでひゃくきゅーまんるぴあ/サヌール一日目』
    『ビーチを見ながらだって仕事は仕事/サヌール二日目』
    『「文系・大卒・三十歳以上」がクビになる/サヌール三日目』
    『感動のない所で人は動かない/サヌール四日目』
    『方程式を一つ入れるごとに本の売上げは半分に減る/サヌール五日目』
    『100%の女の子/You're Beautiful/サヌール六日目』

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    第七章 シンガポール
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    『彫刻はせめて動かないでくれ』
    『Coca-Colaを中国語で書くと「可口可楽」/セントーサ島』
    『ゲイラン地区の相場はだいたい一時間で150ドル』
    『マーライオンとの遭遇』
    『誰かを水まで連れて行くことは出来るけど、水を飲ませることは出来ない。』
    『チャパティーチャパティー!』
    『例えば「耳で考える」ということ』

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    第八章 ようこそ日本へ
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    『税関と別室待遇と大麻検査液/シンガポール→福岡』
    『自分日本人化計画、靴生活始めました』
    『三十二万円のオルゴール/福岡→長崎』
    『辞めない限りは「まだ成功していないだけ」であって「失敗ではない」』
    『九十歳の誕生日とグラバー邸そして田園』
    『坂本龍馬の再来を人が待っている時に坂本龍馬みたいな人が現れるわけがない』
    『空気を変えられる力/オーストラリアと日本の温度差』
    『下関
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