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    Travel in Yonaguni (Japanese Edition)

    Por UMETANI Hideki

    Sobre

    大阪空港から那覇、1時間余りの待ち時間の後石垣へ、そしてさらに40分の旅程を経て目的地に着く。与那国は一島一町、沖縄本島からも500キロメートル以上離れた、人口2000人に満たない、忘れ置かれたようなところだ。1990年3月、石垣空港がまだジェット機用滑走路を持たず、東京や大阪からの直行便がない時代。僕は29歳だった。
    南西航空705便の右側の窓から、雑巾を絞って水面に浮かべたような島影を垣間みたように思った。双発のYS11型プロペラ機が大きく旋回して視界が海だけになり、僕は与那国に着こうとしている。この国で一番西にある町、ソウルよりも西にあり、台北よりも南にある。南西諸島が行き詰まって、台湾の手前にぽつんと浮かぶ絶海の島。地図を見ると周囲100キロ四方には海しかない。海だけがある。気温8度の大阪ではジッパーをとめていたオレンジのブルゾンを、僕は既に腕に抱え、その下の長袖シャツの腕をめくり上げている。「新垣」という名前のスチュワーデスが籠に入れた小さな飴を差し出してくれたが、汗ばむ機内の温度で包装が剥がれにくい。アラガキさんは、ふっくらとした面長で、ちょっと目尻がたれた色の白い美人だ。ローズピンクの口紅がよく似合う。
    与那国島に行く理由が巧く答えられないと思ったので、周りの人には何となく曖昧な話題を出してごまかした。だが、語っておかなくてはいけないというほどではないにしても、彼女とのことなしには説明できないだろう。自己満足の酒呑み話とかセンチメンタルな思い出話を綴りたいわけではない。しかし、突如与那国へ行きたいと思う自分のこんな行動様式は、彼女から受け継いだものだ。それが言い過ぎだとしても、DNAの同じ色をした部分を爪の先で震わせて、僕のそういう特性を引き出して眼前に見せてくれたのが彼女だと思う。
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