これは、聖書の「エステル記」に記された物語に取材しています。紀元前五世紀のアケネメネス朝ペルシャで起こった出来事です。「エステル記」は、美貌の王妃ワシュティが、王の命令を拒んで王の怒りに触れ、その地位をはく奪されるところから始まります。ワシュティの後には、帝国中から集められた美女たちから選ばれたユダヤ人女性エステルが、王妃の冠を受けました。
当時、ダビデに始まるイスラエル王国は崩壊し、多くのユダヤ人は広くペルシャ領内に散って暮らしていました。ところが、たださえ苦難の中(なか)にあるユダヤ人たちを、快く思わない勢力がありました。その一人、ペルシャ帝国の大臣ハマンは、ユダヤ人の絶滅を思いたちます。彼は王に、ユダヤ人を虐殺してよいという勅令を発布させることに、成功するのです。
ユダヤ人への迫害は、第二次大戦時のナチスによるホロコーストが知られています。しかし、国を失ったユダヤ人の危機が、すでにBC五世紀のアケネメス朝ペルシャの時代にあったのです。
聖書は、危機を回避するためにいのちを懸けた、王妃エステルの働きに焦点を当てています。そこを、著者はあえて、冒頭に退位させられたワシュティを主人公にしてみました。王妃の交代にも、神のご計画と采配があったと信じるからです。
ワシュティについての物語はほとんど作者の創作ですが、聖書と歴史資料を逸脱しないように、細心の注意を払ったつもりです。
読者が物語を楽しん下さるよう、願ってやみません。
Vashti: seishomonogatariyori (seisyomonogatariyori siriize) (Japanese Edition)
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