信長に滅ぼされた六角氏の重臣蒲生賢秀の嫡子鶴千代は、蒲生家が信長に臣従する証しの人質として、信長のもとに差し出された。
人質としての身だから約束違反などがあれば鶴千代に命の保証はない。見殺しになった先例も多数ある。
側役人に七つ上の二十歳、町野左近がつけられ、二人はこの先運命をともにすることになる。
しかし人質どころか、鶴千代は信長にその資質を認められ婿になる。
信長直々の元服親のもと「忠三郎賦秀(ますひで)」と名乗り元服する。忠三郎の忠の字は、信長の「弾正ノ忠」という官職の忠の字に因んでつけられたもの。
そして忠三郎は信長の娘・冬姫と婚姻した。名実ともに信長の婿になって実家の日野城へ凱旋。忠三郎十四歳、冬姫十二歳の早春である。
この後忠三郎は信長の傘下で戦に出て、父とともに大活躍をする。信長の命の危機さえも救う。
そうした中、信長が自決するという本能寺の事変が勃発する。天正十年(1582)六月二日のことだ。若き日に信長に誓った信忠を補佐するという役目も、信忠が憤死してしまい果たせなかった。
忠三郎二十七歳の大事件であり、秀吉の傘下に入り義父の敵として光秀軍との間で大いに奮戦した。そして清州会議などの席で秀吉の発言を支持し、秀吉の天下へと協力していくのである。
この後は略するが、
日野城主から伊勢松坂城主そして会津若松城主となり移転するが、その各地の城下で産業を興し商人や職人が大いに栄えた。
部下にも多く蒲生性を与えるなどして、忠誠する強い軍団をつくり家来にも慕われ、秀吉のもとで転戦し勝利し続けたが、惜しくも四十歳の若さで病没する。世が世であればと惜しまれた逸材の短い人生である。
歴女や青少年に歴史小説入門書としておすすめしたい。
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