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    The Law about Women and Men 10 (Japanese Edition)

    Por Kurihara Yosuke

    Sobre

    東京都町田市で開業しております、司法書士の栗原庸介です。
     本書をお読みいただき、真にありがとうございます。

     「女と男の法律学」シリーズも、番外篇も数えるとこれで11冊目となります。
     既に、離婚だけで8冊もの電子書籍を上梓しております。
     離婚事件はそれだけ奥が深いということでしょうか。

     さて本書では、面会交流の問題を取り上げます。

     離婚の際には、父母のどちらが「親権者」になるかを決めることになります。
     親権者にはならず、子を膝下において子の監護をすることができない親が、子どもと直接に会って話したり、間接に手紙・電話・メール等によるやりとり、写真やビデオレターの送付、子の通知表の送付等の方法で交流したりすることを総称して「面会交流」といいます。

     離婚時のみならず、別居中の夫婦においても、面会交流の在り方が問題となります。

     平成23年5月に、民法766条が改正され、父母が協議上の離婚をするときは、「父又は母と子との面会及びその他の交流」「子の監護に要する費用の分担」(いわゆる養育費)を、「子の利益を最も優先して考慮し」ながら協議で定めると規定されました。

     平成24年4月からの施行に伴って、法務省は協議離婚届出書の書式を変更。未成年の子がいる場合、面会交流や養育費について取り決めをしているか否かをチェックする欄が設けられました。当事者間の取り決めを促す目的です。ただし、チェックがなくても離婚届は受理される扱いです。

     法務省の調査によれば、少し古いデータで恐縮ですが、法施行から1年間で、未成年者の子どものいる夫婦の離婚の届出は13万1254件あり、このうち面会交流の取り決めをしたのは55%、養育費の取り決めをしたのは56%に留まっています(平成25年8月19日読売新聞より)。法の趣旨から考えると非常に低い数字だという感想を持ちます。

     一方、面会交流についての協議が調わないことを理由とした調停申立ては激増しています。平成11年ではわずか2000件足らずだったものが平成17年には5000件になり、平成25年に初めて1万件を突破。見事な右肩上がりのグラフとなっています。

     離婚の際、または別居の際、起こり得る紛争で最も熾烈を極めるものが、子どもの奪い合いだと言って過言ではないでしょう。

     離婚後に親権者とならなかった親、または別居時に子どもと引き離されてしまった側の親は、子に対する監護権を(別居の場合は事実上)失いますから、面会交流が円滑に行われないと、恰も親たることを否定されたにも等しい状況になってしまいます。

     もっとも、面会交流は本来親の権利としてではなく子の権利として捉えられるべき問題です。民法も明文で子の福祉を最優先することを求めています。面会交流が円滑に実施されることは、子が心身ともに健やかに成長する上で非常に重要なのです。(もちろんDV・虐待事案等は除きます。)子にとっては、たとえ両親が離婚しても、どちらも実の親なのです。親権者は、非親権者側の親にも会いたいと思う子どもの気持ちに寄り添い、尊重することが求められます。その意味で、フレンドリー・ペアレント・ルールを正面から採用した千葉家庭裁判所の判決は注目に値します。

     本書で、面会交流を中心に離婚に伴う子どもの問題を見ていきましょう!
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