USAGIGAMIHUNSENKI-KAMIENONAGAIMITINORI (Japanese Edition)

　あの有名な因幡の白兎が、どのようにして現在の鳥取県にある白兎神社の神になったのかを、ウサギ神自身がインタビューに答える形で語る一代記のコメディ。
　ワニザメに毛皮をむしられ泣いているところを大国主命に助けられ、それがきっかけで神通力を得て神になってしまった白兎。
　自分の変化が理解できずにパニックになっていると、ヤカミヒメから呼び出されます。
　大国主命と共に出雲へ行ったものの、正妻スセリビメにいびり出されて因幡へ出戻ってきたヤカミヒメが、自分の失敗を踏まえて最後まで幸せに成就する縁結び事業を起業しようと考え、事業パートナーとして神になった白兎をスカウトしたのでした。
　ヤカミヒメに諭され、もう平凡な兎には戻れないと悟った白兎は、ヤカミヒメと共同事業をすることに決めます。
　ヤカミヒメに装束と勾玉の飾り、さらにシロナガミミノミコトという見た目そのまんまの名前を贈られ、出雲の大国主命のもとへ”神の心得”を学びに出かけます。
　出雲で大国主命と再会を喜び合い、スセリビメや息子の八重事代主神、建御名方神とも知り合い、そこで”神の心得”を聞いて因幡へ帰るはずだったのですが、根の堅州国（死者の世界）の素戔嗚尊、そして他の大神様を訪ねる羽目に。
　神の時間と人間界の時間のズレから、神代、国譲り、仏教伝来までの激動の時代を背景に、明るく優しい、ちょっぴり臆病なウサギ神が、個性的な大神様達やパワフルな女神達に振り回されつつ、国津神として成長するウサギ版大河ドラマ・コメディ。
　前半部は『古事記』や上代説話について、当事者の口から”真実”が語られ、シロナガミミノミコトが「知らなきゃよかった」と頭を抱えることに。
　「なぜ素戔嗚尊は大国主命を殺そうとしたのか」、「八岐大蛇を退治した本当の理由とは何か」、「根の堅州国で素戔嗚尊は、母の伊耶那美命に会えたのか」、「国譲りで、建御名方神と建御雷神が取っ組み合った真相とは」などなどが、珍解釈で語られます。
　後半部は、国譲りで動揺する中つ国（生者の世界）でシロナガミミノミコトが遭遇する危機と脱出、外つ国から仏の邪魔をしに来た悪鬼との戦いなど、ウサギ神の冒険譚が中心となり、すったもんだの後、因幡へ戻り白兎神社の主として鎮座するのでした。