yodonikaorukaze3 hachigatajounohana (Japanese Edition)

下剋上罷り通る戦国時代に咲いた白くて、尊い蓮の花のような女性大福（おふく）御前と言う女性が、僕が住んでいる家から十五分位しか掛らない場所の寄居町鉢形城にいたことを知り、その御前は、鉢形城が秀吉軍の攻撃に堪えらず開城した時に、自らの夫である藤田氏邦と共に、家臣と領民の保護を願い出て交換条件に自ら人質になった事を知り、これは書き残す必要があると考えた。取材中には鉢形にある資料館や寺を訪ねたが、正龍寺は、正月の護摩札の用意に忙しいということで、取材の協力を拒み、なかなか藤田氏邦と大福御前に附いての情報は手に入らなかった。だから年表と睨らみあいながら後は、僕が人生六十八年生きてきた知恵で、年表間の隙間を埋める覚悟で「淀に薫る風」<鉢形城の華>と言うタイトルをつけ、玉淀の水面に吹く爽やかな風の様な、大福御前を描くつもりでいる。然し、手元にある資料を精査すればするほど大福御前と言う女性に興味が湧き好きになってしまうのである