おいしいものを食べた時はまた食べたいと思う。美しい景色を見たときはまた見たいと思う。人間にこの感情があるから、レストランや観光地は栄える素地がある。
また、同時に、また新たなおいしいものを追求したい。また別の美しい景色を見たいという感情も起こる。だから、新たなレストランや観光名所が作られる。
古いものでもよければ継続的に経験することと素晴らしいものであれば新しい刺激をさらに求めることの2つが人間に備わっているからこそ、経済発展が起こり、それを下部構造として文化が栄える。
人間のこれら2つの感情がヒントとなり、これまで、私の研究分野である言語と文化にも、上記のような原則が当てはまるのではないかという単純な着想を抱いてきた。本論考では、まだまだ研究途中ではあるが、ある程度の進展を見たので、その着想を形にすることを目的としたい。
古代から、真理の追求はなされており、それが物質に帰着するか、精神に帰着するかが議論されてきたが、デカルトが「我思う、ゆえに我あり」と発したように、物質と精神の両方を認める二元論を唱えたことに誘発され、私は、これまでいくつかの二元論的発想を論文化してきた。注1
その1つが日本文化論分野で主張している「日本文化は重なり志向だ」ということである。これは文化を大別して「重なり志向」と「分かれ志向」があるという二元論的発想である。どちらかに文化を帰着させることはできない点で、「物質」と「精神」の二元論に似ている。
本論考では、言語と文化の両領域をカバーする二元論的発想として、「反復原理」と「追加原理」を提案する。注2
冒頭で挙げたもう一度食べたい、見たいという感情は反復原理に属し、新たなレストランや観光地を求めるのは追加原理に属している。注3
Hanpukugenri to Tsuikagenri: Shinrabansho wo Setsumei suru Genri no Saikouchiku (Japanese Edition)
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